TOP PLAYER INTERVIEW #62
チーターデジタルからキンドリルへ転職、加藤 希尊氏がキャリアで大事にしている原理原則
パートナーとのアライアンスを広げ、企業を成功に導く
――加藤さんは、キンドリルのVice President, CMOとしてどのような業務を担っていくのでしょうか。
ブランディングやキャンペーン、コンテンツ、アカウントベースドマーケティング(対象顧客との関係強化を目的に、その企業に最適化されたマーケティング施策をする手法)など、キンドリルのマーケティングに関するあらゆることを手掛けていきます。
特に力を入れる領域は3つです。ひとつ目は、アカウントベースドマーケティングです。金融、メーカー、流通、公共業界などでお付き合いのあるお客様を対象とし、そうした企業の経営やITイノベーションにマーケティング側面で寄り添える機会をつくりたいと考えています。それによって一緒に成功体験を培っていくことができれば、先ほど話した社会問題の根本的な解決につながるのではないかと期待しています。
2つ目は、ブランディングです。ブランディングとひと口に言ってもいろいろな方法がありますが、一番の軸は「キンドリルという会社が何者なのか」を日本市場にわかりやすく伝えることです。CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)やCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)などIT系の意思決定者のみならず、経営層やマーケターを含むデジタル領域に携わる人々まで、デジタルの必要性について理解の促進をしていきたいと思っています。また同時に、社内に向けたブランディングも行うことで、従業員がキンドリルという会社を家族にも分かりやすく説明できる状態にしたいと考えています。
3つ目は、ハイパースケーラーやその他のパートナー企業と様々な製品・サービスとのアライアンスを広げていくことです。ハイパースケーラーとは、拡張可能なクラウドアーキテクチャやコンピューティング、ストレージなどのサービスをグローバルに提供する大規模なクラウドサービスプロバイダのことを指します。企業の例としては、Google Cloudやマイクロソフト、AWSなどが当てはまります。そうした企業とのアライアンスを広げ、一緒にアカウントベースドマーケティングやブランディングを進めていくことが、特にフォーカスすべきテーマになると考えています。
自分の信じるものを他人にも信じてもらう仕事がマーケティング
――これまでのキャリアの中で、特に成し遂げたと思うことを教えてください。
セールスフォースに勤めていた2014年頃は、「One to Oneマーケティング」や「マーケティングオートメーション」といっても、誰にも伝わりませんでした。それは企業からの情報発信を受ける消費者の体験にとっても良くない状況で、企業から一斉送信で同じようなメッセージが繰り返し送られていました。そこで私は、カスタマージャーニーをきちんと整理し、デジタル化によって顧客体験をアップグレードしようと提案しました。そして現在、セールスフォースは日本市場でもデジタルマーケティング領域のSaaSシェアが大きなクラウドサービスへと成長しています。
また、前職のチーターデジタルでは、人口減少とともに消費者が減っていく中で、新規顧客の獲得単価が高騰して企業の競争が激化していくという課題に向き合いました。チーターデジタルのプロダクトを導入してもらうことで、顧客のロイヤリティを高めてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を上げることに尽力したのです。
これらの経験からマーケティングとは「自分の信じているものを他人にも信じてもらう仕事」だと感じています。だからこそ私は、いまの社会問題が大きくなれば、日本が衰退していくという警鐘を鳴らしながら、マーケティングを通して解決していく役割に就いたのです。