ファミマのファッションショー分析特別寄稿

ファミマはコンビニ業界初「ファッションショー」をなぜ開催? 小売マーケの第一人者が勝手に分析

 

観点3:ファミマ社員やフランチャイズからの「ファミマ愛」強化の場所、と捉えてみる


 チェーンストアのオペレーションは、「本社が構築した戦略をいかに店舗が再現してくれるか」が鍵になりますが、これは人がやることです。どうしても現場の判断や好き嫌いが混じることにより、店頭は必ずしも本社の意図通りにはなりません。

 これがコンビニになると、フランチャイズの意向や感情という要素も入ってきます。「本社何するものぞ」というサムライ的なフランチャイズを説き伏せ、いかに本社を信頼し、本社に期待してもらうか、というのはとても大切なのですが、日常のビジネスプロセスの中でそれを実現することはなかなかに骨が折れます。

 そのような組織風土の中で、ファミフェスが行われるとどうなるでしょうか? 従業員はスタイリッシュに映る自社のことを誇らしく感じ、フランチャイズも競合とはひと味もふた味も違う打ち出しをした本社に対して期待を高めるでしょう。

 また、これらの新しい商品を積極的に品揃えしたい、という気持ちも高まるでしょうし、その意味で本社の方向と店舗の方向を一致させる効果もあるでしょう。

 このように考えてみると、ファミフェスの取り組みは、ショッピングミッションの拡張、ブランドの強化以外にも、インナーのエンゲージメント強化という重要な役割があったのではないか、と考える次第です。

 以上、公知になっている情報からファミフェスの狙いを勝手に推測してみました。6月の「マーケティングアジェンダ2024」では、足立光さんと一緒に登壇する機会があるので、そのときにでも答え合わせしてみようと思います。
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