TOP PLAYER INTERVIEW #63
KDDI 「au三太郎」新CM、生成AI活用という挑戦の先に見えた可能性
UGC施策「さぁ、何やる?メーカー」の狙いとお客さまの反応
――お客さまに楽しんでもらうために、今回のCMにはどのようなメッセージを込めたのでしょうか。
山中 年始から新生活を迎える人や、新たなスタートを切る人がいます。毎年、年始のCMにはそういった人々のシーンに少しでも寄り添いたいという想いを込めてメッセージを発信しています。そこで今年は「さぁ、何やる?」というキーワードを打ち出しました。
ただ、これを一方的に伝えるだけでは意味がありません。お客さまに自分ごと化してもらえるような体験まで設計することが重要だと考えています。そのため、CM連動の施策として、新年の抱負や今年挑戦したいことを入力すると生成AIがあなただけの本格的なMV(ミュージックビデオ)を生み出す「さぁ、何やる?メーカー」を提供しました。
3つの生成AIと一緒に作る、あなただけのMV 「さぁ、何やる?メーカー」
合澤 1年の始まりである1月1日は、「ダイエットしたい」や「早起きしたい」など、さまざまな抱負を思い浮かべるタイミングです。「さぁ、何やる?メーカー」に今年の抱負を入力し、AIボイスを選択するだけで、生成AIが自分を応援するような歌詞、歌声、イラストを自動生成し、オリジナルのMVが完成するという仕掛けです。「キーワードを入れるだけでこんなにも本格的なMVができるの?」という体験をおもしろがってほしいという狙いがあり企画しました。
山中 我々は「さぁ、何やる?」というスローガンだけをテレビCMで一方的に伝えるのではなく、その先のお客さまの体験価値づくりもセットで行うべきだと考えています。「さぁ、何やる?メーカー」で自動生成したMVをSNSにアップして、それを見た人がまた自分もやってみようかなと思ってくれるという循環を期待しました。実際、そのようなUGCが数多く生み出されていました。
合澤 社内では、日本の文化である書初めや年賀状が「さぁ、何やる?メーカー」に変わったらいいよね、という話もしていました。いまは年賀状の文化が薄れ、新年の挨拶もSNSなどに置き換わっていますが、今後はそういったコミュニケーションにもAIが使われるようになるかもしれません。auがそのきっかけになれたらおもしろいですね。
とはいえ、生成AIという新しい領域にチャレンジした分、例年よりも不安が大きかったです。やはり皆さんがイメージするau三太郎シリーズのお正月CMとは異なる表現だったので、ポジティブな反応もあれば、「思っていたのと違う」といったコメントもありました。
具体的にはX(旧Twitter)で、「え!CMびっくり!生成AIのキャラクターが、auのCM『みんながみんな英雄』の替え歌で『さぁ何やる?』の流れ最強すぎた笑笑」「TVみてちょっとびっくりしたのがauのCM、AIで生成したのか?と思ったらアニメだけAIで作ったっぽい?」「auの三太郎CMも生成AIアニメに。来年ぐらいには普通に生成AIのアニメ番組が始まるかもな。」「auの『さぁ何やる?』というテーマでAIアニメーション流すCMなかなかいいな」などの投稿がありました。定量的なデータはまだ集計中ですが、例年に比べてお客さまの反応もさまざまだったことが分かってきています。