TOP PLAYER INTERVIEW #03

「アベンジャーズの一員になりたい」元日本マクドナルドCMO 足立光がナイアンティックに入社した理由【インタビュー】

 今もっとも注目を集めるマーケター 足立光氏。業績低迷に苦しんでいた日本マクドナルドのV字回復の立役者のひとりである。彼が6月末に同社を退社すると、その行き先に日本中の経営者やマーケターから熱い視線が注がれた。9月28日、彼は次なる活躍の場を決めた。足立氏に転職先と描くビジョンについて聞く。  
 

ミッションに共感「ともに歩いて冒険に出よう」

−日本中のマーケターが、この3カ月間、足立さんの転職先がどこになるかを話題にしていました。次の職場は、どこでしょうか。


 はい。9月28日から、ナイアンティックに行くことにしました。ナイアンティック アジアパシフィック プロダクトマーケティング シニアディレクターに就任します。
 
編集部注: ナイアンティックは、Google EarthやGoogle Mapの責任者を務めたジョン・ハンケ氏らが2015年にGoogleから独立してつくった会社。「イングレス」や「ポケモンGO」など、地図とテクノロジーを連携させたAR、位置情報を取り扱う。
 


−驚きました。「ポケモンGO」の開発会社として有名なナイアンティックなのですね。足立さんの実績であれば、引く手数多だったと思います。その中からナイアンティックを選んだ理由は何でしょうか。


 いやいや、全然、引く手あまたじゃなかったですよ。 私がナイアンティックに行く理由は、大きく3点あります。

 1点目が、「ともに歩いて冒険に出よう」という素晴らしいミッションを持った会社であるということです。一般的にナイアンティックはゲーム会社のように思われていますが、実際はそのミッションを実現するためにゲーム性を利用しているに過ぎません。売上や利益よりも、いかに人を動かして健康促進などに貢献するかを追求していることを純粋にすごいと思っていました。

 2点目は、グローバルな会社としては珍しく、マネジメントに「日本」が大きな存在感を持っている会社であることです。創設者であり代表であるジョン・ハンケは、禅からインスピレーションを得ていると公言しています。また、マネジメントでは多くの日本人が活躍しています。こんなグローバル企業は、他に見たことがありません。

  そして、3点目が「人」です。Googleからスピンアウトした極めて優秀なメンバーの集まりで、一言でいうと「アベンジャーズ」(編集部注:アイアンマンやキャプテン・アメリカなど、複数のアメリカン・コミックヒーローをクロスオーバーさせた映画)のような集団です。自分が「アベンジャーズ」になれるかどうかはわかりませんが、この優秀なメンバーと働いてみたいと思いました。 

 実は今年6月に私がスパイダーマンの服を着ている写真をSNSにアップしたと思うのですが、それは映画「アベンジャーズ」の昨年の作品中に登場するスパイダーマンが「自分もアベンジャーズに入れて欲しい」とアイアンマンに懇願するシーンをイメージして、「私も一員になりたい」という思いを込めていたんです(笑)。
ナイアンティック
アジアパシフィック プロダクトマーケティング
シニアディレクター
足立 光(あだち・ひかる)

1968年、米国テキサス州生まれ。一橋大学商学部卒業。P&Gジャパン マーケティング部に入社し、日本人初の韓国赴任を経験。ブーズ・アレン・ハミルトン、およびローランドベルガーを経て、ドイツのヘンケルグループに属するシュワルツコフヘンケルに転身。2005年には同社社長に就任。赤字続きだった業績を急速に回復した実績が評価され、2007年よりヘンケルジャパン取締役 シュワルツコフプロフェッショナル事業本部長を兼務し、2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。ワールド 執行役員 国際本部長を経て、2015年より日本マクドナルド 上席執行役員 マーケティング本部長。2018年9月28日より現職。
 

−テクノロジーの会社ということで、これまでのキャリアとは異なる新たなチャレンジですね。


 そうですね、初めてのIT業界です(笑)。ただ、私自身、常に新しい業界にしか行ったことがなく、違和感はありません。あと20年、30年仕事をしていくと思うと、今後伸びそうな業界の中で新しいことを学習し、自分をさらに成長させないといけないと考えていました。バイオやAIでもよかったのですが、ARも間違いなく伸びると思います。
 

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