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すかいらーくが新ポイント制度を導入、店舗DXからCX・EX向上への切り札「すかいらーくポイント」の全貌

 すかいらーくホールディングス内で国内レストラン事業を担う、すかいらーくレストランツが2024年5月16日から「すかいらーくポイント」を開始する。同社が運営するガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサンなど20ブランド・約2600店舗で、すかいらーくアプリから貯めて使うことができる。ご利用金額の税込200円で1ポイント付与され、次回の会計以降で1ポイント=1円から使用できる。また会計時に、楽天ポイント・Vポイント・dポイントのいずれかを提示することにより、すかいらーくポイントと共通ポイントの両方を貯めることができる。

 なぜ大手外食チェーンのすかいらーくホールディングスがこのタイミングで「すかいらーくポイント」を導入したのか。そして、この導入によって顧客にはどのようなメリットをもたらすのか。すかいらーくホールディングス 執行役員 マーケティング本部 マネージングディレクターの平野曉氏に「すかいらーくポイント」導入の背景と顧客へのメリット、今後の展望などについて詳しく聞いた。
 

店舗DXからCX・EXへシフト


――2024年5月15日、「すかいらーくポイント」を開始することを発表しました。まずは、その背景から教えてください。

 これまで店舗でさまざまなDXに取り組んできましたが、その目処が一旦つきました。次のステップとしてCX(Customer Experience:顧客体験)とEX(Employee Experience:従業員体験)の向上に移行しており、その一環として「すかいらーくポイント」を導入しました。
   すかいらーくアプリで開始される「すかいらーくポイント」は、すかいらーくレストランツの各ブランドでのお支払い時に貯めることができる。ご利用金額の税込200円ごとに1ポイントが付与される。さらに、楽天ポイント・Vポイント・dポイントのいずれかを提示することにより、合わせてポイントが付与される。貯まったポイントは、1ポイント=1円として利用可能となる。

 我々はこれまで店舗DXを通して、お客さまに心地よい体験をしていただけることを追求してきました。具体的には、デジタルメニューブックを活用して容易に注文できたりする環境づくりや、配膳ではネコ型配膳ロボットを導入し、スタッフとの連携による配膳、テーブルやセルフレジによる決済により、お客さまをお待たせしない会計も実現しました。このように、デジタルを活用してお客さまの入店から注文、配膳、会計、片付けまでの一連の体験で利便性を高めることに注力してきました。
 
すかいらーくホールディングス
執行役員 マーケティング本部 マネージングディレクター 平野 曉 氏

1994 年中央監査法人に入社(公認会計士)。アクセンチュア株式会社シニアマネージャー、SAS Institute Japan株式会社 BPM事業本部マネージャー、クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン株式会社(現 IQVIA サービシーズ ジャパン株式会社)経理財務本部シニアディレクターを経験。2015年4月当社入社後、財務本部ディレクターを経て、2019年1月よりIT 本部デピュティマネージングディレクター、同年9月より執行役員、2020年1月よりIT・マーケティング本部デピュティマネージングディレクターを務め、同年7月にIT 本部マネージングディレクターに就任。2022年9月より現職。

また、来店していただくお客さまだけではなく、店舗で働く従業員に対してもAIを活用して発注やワークスケジュール作成、予算管理の業務などの精度を向上するデジタル化を推進しています。さらに、宅配に関しては、さらなる需要の高まりにお応えするため、自社配達に加え、外部の宅配パートナーと連携し取り組んでいます。

このようにお客さまの利便性の追求や、厳しい労働市場に対応した従業員の生産性の向上は少しずつ成果を上げています。今後さらにデジタルを活用した進化の方向性としてCXとEXを強化するために「すかいらーくポイント」を導入しました。

――「すかいらーくポイント」の導入により、お客さまや従業員の体験価値をどのように上げていくのでしょうか。

 CXの向上に関しては、一人ひとりのお客さまの心情に寄り添い、お客さまにとって心地のよい体験をしていただくレストランであることを目指していきます。そのためのツールのひとつとしての「すかいらーくポイント」です。

 従来、すかいらーくアプリではクーポンやネット注文などの機能しかありませんでした。そのため来店したお客さまとアプリの利用者を紐づけることができなかったのですが、「すかいらーくポイント」の導入によりPOSデータとアプリ会員の情報を紐づけることができます。

 また、楽天ポイント・Vポイント・dポイントなどの共通ポイントに連携し、パーソナライズした顧客体験を届けることができます。いわゆる一般的なポイント制度としてお客さまのロイヤルティを高めて、来店頻度を高めるような販促手法というよりも、お客さまをこれまでよりも深く理解して商品・サービスの開発に還元していこうという施策になります。短期ではなく、長期的な視点で考えています。

 同時並行で進めているEXの向上に関しては、従業員の業務のデジタル化を通して取得するさまざまなデータを活用していきます。多言語対応したトレーニング動画でのOJTや勤怠管理、給与閲覧、チャットを活用した質疑応答のサービスなどをひとつに統合し、より働きやすい環境を整えます。また、土日や祝日、ゴールデンウィークやお盆などの繁忙期に働くと、従業員に「すかいらーくポイント」が付与されて、それを実際に店舗でも使えるようにしていきます。

「すかいらーくポイント」の導入により、従業員一人ひとりの成長をサポートし、心地よく働いてもらう環境を提供することで、定着化を促進させていきます。

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