CATCH THE RISING STAR #02

「趣味はSNSと伝統文化」 老舗ベンチャー新卒第1期生の挑戦と葛藤【八代目儀兵衛:阪田百華氏】

 

8個のSNSアカウント使い分け


―― 書道や将棋など多趣味ですね。ご自身のパーソナリティは仕事にどのように生かされていますか。

 書道も将棋も「下手の横好き」ですが、書道は今も毎月、大阪の実家に帰った際に稽古に通っていて、集中力は身に付いた気がします。将棋は幅広い年代の方とコミュニケーションができるし、先を読む力や心理的な駆け引きは仕事に生きているかもしれません。

 演劇鑑賞も趣味にしていて、同じ舞台を何度も見に行って、「なんでこのタイミングで照明を消したんだろう」とか、作り手の意図を推察することを楽しんでいます。制作意図を推察する習慣は業務にも生きていて、目を引くクリエイティブがあれば「なんでこのフォントにしたんだろう」などと考え、自社のクリエイティブの参考にするようにしています。

 入社時点ではマーケティングについての知識は皆無で、なぜ採用してくれたのか、フィードバックをもらったことがあります。それによると、グループワークの際に、予想外のことを聞かれても打ち返す対応力が良かったということでした。他社さんと比較はできませんが、当社は「老舗ベンチャー」を名乗るだけあってすごくスピード感があり、「無茶振り」も結構多いような…(笑) 食らいついていく力は必要と感じています。

 入社した際は実は、広報を志望していました。なぜ広報かというと、SNSがすごく好きだからです。もちろん、個人で発信するのと会社として発信するのとでは大きく違うとは思いますが、私自身、InstagramやXを活用していて、特にXは多い時は10個以上、現在は8個の個人アカウントを使い分けています。コミュニティーによって見せる顔を使い分けるという現象は興味深く、卒論のテーマにもしました。将来的には、SNSを活用する部署も経験してみたいと思っています。

―― 今後の目標を教えてください。

 先ほどお話しした全社的な課題の他に、個人的な課題はたくさんあります。ひとつは「伝える」ということへの苦手意識です。今、新商品の開発に携わる中で、社内にコンセプトやストーリーをプレゼンしたり、相談したりする機会があるのですが、思いついたことがすぐ口から出てしまって、相手を戸惑わせてしまうことがあります。言いたいことをうまく伝えるために、いったんメモ帳などに書き出して整理してから話すなど、工夫して克服しようとしています。

 キャリアについて悩むこともあります。新卒第1期生としての期待を感じる場面はあり、自分としても将来的には幹部になりたいという気持ちはありますが、それはやはり得意分野や信頼感、実績があって、初めて付随してくるものだと思います。現状ではまだ、自分が納得できる成果は得られていないという焦りを感じています。現在のマーケティングの仕事を続けていきたいけれど、それだけでいいのか。今後、ジョブローテーションで色々な部署を経験することになると思うのですが、どんな仕事をして、どんな点を伸ばしていけばいいのか。先輩に相談したり、おすすめの本を読んだりして、模索しています。まずは目の前にある仕事に向き合い、全力で打ち返しながら、自分の可能性を広げていきたいです。
 

【上司の視点】広い範囲で活躍するマーケターに

 
神徳 昭裕 氏 
八代目儀兵衛 取締役CMO

 阪田さんは八代目儀兵衛の新卒第1期生として2022年に入社しました。当社はこれまで即戦力として中途社員しか採用していませんでしたが、将来の八代目儀兵衛を担う人材として新卒採用を意思決定した第一号社員となります。

 そのため、社長を含め幹部・上司から大きな期待を背負っています。EC運営を担う現部署には2022年8月から在籍し、主な業務はメルマガやLINEの企画・運用になりますが、最近では20~30代に向けた新商品開発の企画を一から担当してもらっています。

 EC運営を一通り経験してもらってからは、社内ジョブローテーションで他の部署に異動する予定ですが、一般的なデジタルマーケティングの範囲だけでなく、お米の事業会社として幅広い知識・経験を身に付けてもらう予定です。 また、昨年からは35歳以下のマーケターの集いである「ライジングアジェンダ(ナノベーション主催)」に参加してもらうなど、社外との交流を意識的に深めることで、広い範囲で活躍できるマーケターへの育成を目指しています。
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