CATCH THE RISING STAR #03

「風呂でも商談視聴」昭和っぽさ薫るナチュラルボーンマーケター【ノバセル:今井雄太氏】

前回の記事:
「趣味はSNSと伝統文化」 老舗ベンチャー新卒第1期生の挑戦と葛藤【八代目儀兵衛:阪田百華氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事は生成AIに奪われていくのではないか」とも囁かれる昨今。そんな変革期にマーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカスしたAgenda noteの本連載。テクノロジーやSNSに身近に触れてきた彼らの多彩な思考と行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第3回に登場するのは運用型テレビCM事業のノバセルから入社2年目のマーケティング部・今井雄太氏。コスパ・タイパ重視の風潮に逆張りするような「一回めちゃくちゃやってみる」を実践し、愚直なまでに「顧客理解」を追い求めるその先に目指すものとは。
 

息をするように他人の思考を考える


―― 大学では文学部に在籍しながらノバセルで学生インターンをして、そのまま入社されたのですね。なぜ貴社を選んだのですか。

 父が自営業だったこともありビジネスの世界に興味があったので、大学時代はアフィリエイト広告に関する企業でインターンを始めました。短期的な利益をつくりやすいビジネスモデルで、デジタルマーケティングのスキル面では非常に勉強になったのですが、改めて自分のやりたいことを見つめ直した時に、短期的な利益を追うだけでなく、より中長期的に産業や社会にインパクトを与えたいと考えました。色々な会社を調べる中でラクスルやノバセルの事業が自分の考える方向に近いと感じ、当社の楠勇真(現ノバセル ビジネスプランニング部部長)にTwitterのDMでアポイントを取って話してみて、目指す方向性や雰囲気が合いそうだと思ったのでインターンとして入りました。

 その後、学業そっちのけで思い切り働いてみると、独特の商習慣が根付いたテレビCMの産業に興味深い点が多々あり、ハマっていきました。就職の際は、自分の中で2つ基準がありました。ひとつは、若いうちはとりあえず量をこなすのが大事だと思ったので、「めちゃくちゃに働ける環境」です。もうひとつは、安定志向ではなく本気で事業にコミットしようとする優れた経営者と、近い距離で働けるということです。これらの視点で見たときに、やはりノバセルで代表取締役社長の田部と一緒に働き続けたいと思い、入社を決めました。
 
今井 雄太 氏
ノバセル マーケティング部

―― 現在入社2年目ですが、どんなお仕事をされてきましたか。ご自身のどんなところが仕事に生きていると思いますか。

 基本的にインターンの頃と同じく、ノバセルの事業をプロモーションするマーケティングです。当社が強みとする、データを活用したテレビCMの広告代理店事業と、効果測定ツールやコンサルティングを提供するMarketing DX事業の2つをメインで担当しています。

 私の担当領域はノバセルやマス広告の価値をお客さまに知ってもらい、提案機会を創出することです。その際、価値をどう魅力的に見せるかももちろん大事ですが、何より、お客さまが何に課題を感じているかなど顧客解像度を上げて、そこに目がけてメッセージをシャープにしていくことが重要だと思っています。そこで重視しているのが、オンラインの商談やオフラインのイベントなどで得られるお客さまの「一次情報」です。

 たとえば、ノバセルは会社全体で月200本ほど商談をしているのですが、一時期は風呂の時間や空き時間に、全てのオンライン商談の動画を見ようとしていました。お客さまがどんな方で、何を話していて、商材の話をするとどうリアクションするか、お客さまに刺さるのはどういう時か、などをひたすらチェックします。ちょっと異常だと思われるかもしれませんが、顧客の一次情報を重視するのはノバセルのカルチャーでもあります。実際、顧客解像度を上げることでお客様が何に課題を感じていて、どういう話をすると心が動くかを理解することができ、施策の成功確度が上がるので、方向性は間違っていなかったと思っています。

 私の場合、「人が何を考えているか」を考えるのが昔から好きです。そういったことを、息をするように考え続けてきたので、顧客理解が必要不可欠なマーケティング業務に役立っていると感じます。

 あとは素直なタイプだと思います。顧客理解についても、代表の田部が誰よりも現場でお客様の声を聞いて、事業につなげていくのを間近で見ていたので、今の自分の視座で論理的に理解できないことでも「まずは一回、めちゃくちゃやってみよう」と考えました。量をこなせば違う風景が見えてくることがあります。「タイパ、コスパ」を気にせず愚直にやってみることが苦にならないのは、自分の強みだと思います。

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