CATCH THE RISING STAR #04

クラフトビール市場に新たな価値創出 サントリーマーケティング&コマース2年目マーケターの挑戦【柿崎優希氏】

前回の記事:
「風呂でも商談視聴」昭和っぽさ薫るナチュラルボーンマーケター【ノバセル:今井雄太氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事はAIに奪われるのでは」とも囁かれる昨今。そんな時代の変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

 Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第4回はサントリーグループにおいて飲食店用備品販売のビジネスに取り組むサントリーマーケティング&コマースで、飲食店向け通販サイトやSNSの運営を担う柿崎優希氏にインタビュー。「ビールもSNSも苦手だった」という柿崎氏が持ち前の行動力を武器に、クラフトビール市場で目指す新たな価値創出とは。同社期待の2年目マーケターの挑戦に迫った。
 

希望と違う部署に配属


―― 柿崎さんは2023年に新卒で入社され、マーケティング本部の飲食店備品販売を担う「市場開発部」に配属されて現在2年目ですね。お仕事内容を教えてください。

 当社が運営する業務用ツール通販サイト「飲食店用品.jp」のほか、「名入れスルー」というサイトの運営サポートをメイン業務としています。「名入れスルー」は、グラスなどの飲食店グッズの「名入れ」を、デザインから見積もりまでスマホで手軽にシミュレーションし、依頼できるECサイトです。元々は「飲食店用品.jp」で行っていたサービスを、注文数の伸びや細かいご要望に対応できるよう独立させ、ちょうど私が入社したのと同時期にオープンしました。昨年10月に開設した公式Instagramのコンテンツの企画や投稿も担当していて、これらのサイトで販売するオリジナル商品の企画にも参加しています。
 
柿崎 優希氏
サントリーマーケティング&コマース マーケティング本部 市場開発部 企画開発グループ 通販企画チーム

 名入れグッズについては、サントリーをはじめ大手ビールメーカーがグラスやジョッキにロゴを入れているのはよく目にされると思います。「名入れスルー」の強みは、飲食店の大半を占める個人飲食店さんでも比較的少ない数から注文いただけること、そしてサントリーグループならではの質の高さと販売実績です。特にグラスとインク、印刷の品質のベストバランスにこだわっており、定着性を高める工夫を施しています。お店の個性や世界観を表すブランディングツールとして、名入れグッズは需要が広がっています。
  

―― 課題に感じることはありますか。

 ECという特質上、お客さまの顔が見えないため解像度が上がりにくいのが課題です。ご注文くださったお客さまをSNSで探して、どう商品を使ってくださっているか調べたりしています。地道ですが、それを続けることでお客さまの傾向や、「じゃあ次はこうやってみよう」というのが見えてきます。特に「名入れスルー」については、購入してくださった飲食店さんに実際に足を運び、使い心地などをインタビューすることに力を入れています。

 InstagramはユーザーをECサイトに誘導する導線になるのですが、購入につなげることに難しさを感じています。当社ではこれまで、ECサイトでのSNS活用実績が少なく、私自身もSNS発信はあまりしたことがなかったので…。投稿を頻繁にするようになったのは今年からで、ユーザーのエンゲージメントを高めるために試行錯誤中です。名入れグラスはSNS映えするので、飲食店さんが効果的に投稿しやすいよう、撮影のポイントをプロに聞く動画コンテンツをつくったりしました。飲食店さんへのインタビュー動画もアップしています。

―― Z世代はSNSに詳しいイメージがありますが、柿崎さんは当初からSNSが得意というわけではなかったのですね。もともとは、どんな仕事をしたいと思っていたのですか。

 就活では、誰かに喜んでもらえたり、ワクワクを届けられたりする仕事をしたいという気持ちと、企画段階からリリース後のお客さまの反応まで見届けたいという思いの二軸がありました。その中で、サントリーグループのキャンペーンを見て、これなら気持ちがワクワクするし、展開場所も多くて自分が携わった施策が目に見えやすいことがやりがいにつながるかなと思い、当社を選びました。

 そのため最初は、マーケティング本部の中でも、サントリーグループのキャンペーンを受託することが多い販促事業部への配属を希望していました。市場開発部に配属されて、ECサイトやSNSを担当するとは思いもよりませんでしたが、今はこちらに来て良かったと思っています。就活の時にはキャンペーンばかりが目に入っていたけれど、市場開発部で実際に働いてみると、企画からお客さまの反応を見るところまで携わるという、より本質的な志望に近いと感じます。これまでにない市場や製品を開拓したり、お客さまの顔を見に行けたりもするので、やりがいも実感しています。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録