CATCH THE RISING STAR #08

パナソニック コネクトの「なぜなぜ」マーケター 俳優志望から転換、広告・PRの道へ【高田 誠哉氏】

 

「なぜ」を突き詰め、詩を読んで言葉を磨く


―― 記者会見運営やMAなど、新人ながら重要な社外コミュニケーションを担ってきたのですね。課題に感じることはありますか。

 大きく2つあります。ひとつ目はタスク管理です。PR担当の時は2年目で初めて記者発表会の仕切りを任せていただいたのですが、会場設営や記者の誘導、発表準備などタスクが多すぎて自分の頭の中だけでは整理しきれず、苦労しました。

 もうひとつはお客さまへの訴求です。大学で学んだサービスデザインはBtoCを対象にしていたのに対し、パナソニックコネクトではBtoBですので、お客さまのニーズに大きな違いがあります。BtoCでは利用者ご自身が困っていることやニーズを引き出し、満足させることを目指しますが、BtoBでは企業や組織全体としての課題感を捉えて、生産性を向上させなければなりません。そのインサイトを捉えることの難しさは、2年目の時に経験したN1インタビューでも痛感しました。ただBtoCもBtoBも、結局のところは人の心が動かないことには行動に移してもらえないとも思っていて、その点ではどちらも同様に難しいと感じます。

―― 課題をどのように乗り越えていますか。また、普段から意識したり工夫したりしていることはありますか。

 タスク管理にしても、インサイトの深掘りにしても、自分の脳内だけで処理しようとせず、とにかくアウトプットするようにしています。タスクであればエクセルにまとめ、N1インタビューではお客さまのインサイトや想定される課題、ロジックを図式化して整理します。これがあることでお客さまの困り事を的確にヒアリングすることができ、課題への対応もしやすくなります。

 また、根本的に「なぜなぜ人間」で、何をやるにも「なぜやるのか」を突き詰めないと動けないタイプです。広告を出すにしても、なぜ出すのか、売上を上げるためだとしてもなぜ広告という手段を選ぶのか…というように、目的を上流の方まで遡り、全体像を把握しないと気が済みません。そうすることで、自分の業務が全体の中でどういう意味があるのかを理解して動くことができます。

 頑固と言われそうですが、やっぱり上位の目的まで理解しないと、HOWが先行して部分最適になりがちです。広告ならPV・クリックを集めることだけに注力しても、本当に商品を必要としているお客さまに来ていただけるとは限りません。そういった意味では、上流まで突き詰めないと気が済まない自分の性格は、全体の目的を達成するマーケティングに生かせるのではと思っています。また、情報を図解、マッピングする手法は我ながら汎用性があると感じていて、別の業務に活かしたり、同僚に共有したりできればいいなと思っています。

 あとは個人的な趣味ですが…。年間50冊ほど本を読んでいて、最近は最果タヒさんなどの詩を読むことにもハマっています。人とのコミュニケーションにおいて、言葉だけで100パーセント理解し合うって難しいですよね。ビジネスにおいても、言語化できない顧客のインサイトなど重要な要素を取りこぼしているかもしれません。本や詩は、純粋に面白いから読みつつ、言葉にできない何かを表現したり、想像力を及ばせてくれたりするので、仕事にも少なからず役立っています。

―― 今後の展望についてお聞かせください。

 実は10代の頃、俳優を目指していた時期がありました。国民的ボーイズコンテストで賞をもらったこともあって、俳優業を通して何かの価値を伝える、という仕事に興味を持ったのです。挑戦してみたのですが、自分を商品として売り込むのが得意でないことがよくわかって…パソコン売りになりました(笑)。ただ、自分の好きなものや考えたことを体系化して伝えるということには今も関心を持っていて、広告やPRの仕事などを通して探究していきたいです。

 キャリアについては、環境に流されず、自分がやりたいこと、やるべきことを見つけていくスタンスです。"今"に集中してやれるべきことは全てやり、選択の必要性を感じた時に、自分が思うベストな選択をしていきたいです。
  
 

【上司の視点】人間中心の考え方の基礎を備える

 
関口 昭如 氏
パナソニック コネクト
デザイン&マーケティング本部 デジタルカスタマーエクスペリエンス統括部 ダイレクター(兼)モバイルソリューションズ事業部 マーケティング部 シニアマネージャー

 高田さんは、大学時代にインターンプログラムを通して我々のチームに加わってくれていました。大学ではサービスデザインなど、お客さまのインサイトを探る研究をされていたため、顧客/ユーザ/人間中心の考え方の基礎を備えていると思います。

 マーケティング部に配属されてからも、「広告」「PR」「顧客分析」「Demand Generation」とさまざまなマーケティング・コミュニケーションの仕事を担当しながら、仕事の成果だけでなく、横(他部署や他会社)との連携も強化してくれています。

 これからもモバイルパソコンのマーケティングに限らず、色々なことに挑戦して知見を広め、日本の製造業の世界へ向けての再飛躍に向けて、活躍してほしい人材です。期待しています!
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