TとVがひとつになって~消費者とマーケティングの視点~ #02

ビッグデータ×パーソナルデータ ポイント統合でCCCが狙う高精度マーケティング【撫養宏紀取締役インタビュー】

 

成熟から健全な成長へ


――提携店の開拓についてはSMCC側とも連携すると聞いています。

 そうですね。新規の提携営業はSMCCとタッグを組んで、ワンチーム・ワンプロジェクトのような形で進めています。 提携店によってはキャッシュレス決済の導入から入るか、ポイントサービスの導入から入るか、お客さまに合わせてご提案の軸を変えます。

 提携営業においては、日常的に使うスーパーやドラッグストア、飲食店などを中心にぜひ提携していただきたいというのはありますが、クーポンサイトを見ると分かるように、紳士服などの専門店も入っていらっしゃいます。多種多様さも魅力だと思いますので、営業において「この業種だけ」と絞ることはあまりありません。

―― Tポイント誕生から20年を経て、国内のポイント市場は成長・拡大が続いています。マーケティングの潮流から見ると、ポイントサービスの活性はどのように捉えられるでしょうか。

 データドリブンなマーケティングは今では当然ですが、ご存知の通り、近年はプライバシー保護などの観点からファーストパーティデータ(自社で収集した顧客情報)の重要性が高まっています。私たちは最初から、同意を取ってデータをお預かりして、商品開発などマーケティングに活用する手法を貫いてきました。

 初めてTカードをつくった時、紙の申込書に住所などを記入した記憶がある方もいるのではないでしょうか。今はそれがモバイル登録になりましたが、データ活用への透明性を求める機運が高まり、ファーストパーティデータを前提とするポイントカードが支持を集めるようになったのは、健全かつ必然的な傾向のように思われます。これもやはり一種の「成熟」であり、ここから私たちもより進化しなければなりません。

 今回の統合によって、ユーザーデータの提供可能性がある企業が増えることになります。しっかりご説明して同意を取ることは大前提ですが、より丁寧なコミュニケーションのため、専門家のアドバイスを頂きながら昨年12月、「プライバシーセンター」という専用サイトを設けました。ユーザーはここでパーソナルデータの使われ方について調べたり、連携の設定ができたりします。

CCCMKホールディングスのサイトにある「プライバシーセンター」の専用サイト

 一度つくって終わりではなく、コールセンターなどからお客さまの声をキャッチし、より求められている情報やわかりやすさをバージョンアップしていきたいと考えています。ポイントと決済が融合したことでより多彩なサービス開発が可能になったので、データがどのように活用され、還元されているかがお客さまにも感じられるようなサービス開発も検討したいですね。

―― 本日はありがとうございました。

※第3回(Vポイント事業のもう一人のキーマン、三井住友カード 専務執行役員 マーケティング本部長 佐々木丈也氏インタビュー)に続く。

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