CATCH THE RISING STAR #12

クレディセゾンの若きデータマンが「与信」を通して目指すマーケティング【渡邉大起氏】

 

「数値出し屋」にならないために


 AIについては正直、5年後、10年後にはもう、今やっているかなりの部分の仕事をAIがやってしまうのではと思っています。ただ、最終的な意思決定をする人材は、何十人もいらないかもしれませんが、数人は必要です。AIが導いた結果を咀嚼して、実際にアクションを起こすのかどうかを決めなければならない場面はあります。そこまでの途中の作業はAIに任せていく流れになると思いますが、意思決定にはそれに伴う責任もありますし、より幅広い知識や見識が求められてくるのではないかと考えています。

―― 与信をずっと担当されてきましたが、今後、やってみたい仕事はありますか。

 将来的には、これまで培ってきたデータ分析のスキルを活用して、よりデータドリブンな広告プロモーションやデジタルマーケティングなど、よりお客さまに近いところで行動変容を促すような仕事をできたら、面白いかなと思っています。

 というのは、今回の組織再編で変わってきてはいるのですが、再編前の職場は比較的、専門性が高く、他部署や外部との交流があまりありませんでした。そのことについては、私も課題に感じていて、上司が紹介してくれて、若手マーケターが集う異業種交流会に何度か参加したことがあるのです。そこは活気にあふれていて、みんなの話を聞いているうちに、「こういう仕事もやってみたい」と視野が広がってきました。私がやってきた仕事は、マーケティングと言ってもニッチと言いますか、かなり専門性が高い分野だったので、同年代のマーケターの業務内容が興味深く思いました。

 一方で、話を聞いていると、「この広告を、この層に向けて打ったら良さそう」というように、知見だけでやられている人が多い印象も受けました。この場合の知見とは、過去の経験則や、学問的なマーケティングの理論やフレームワークなどですね。それももちろん大事ですし、これまではそれで良かったと思いますが、今後は広告もデータに基づいて打たないとダメだ、という話も聞き、そういう中で、自分が大学や、これまでの業務で培ってきたデータ分析のスキルやノウハウが生かせるのではないかと思ったのです。

―― 仕事の幅を広げるため、どんなスキルを身につけたいと考えますか。

 データに関しては一定のスキルがあるので、この先は、それを一層磨くというより、より幅広い知識を持った方がいいのではと考えます。データの専門性だけでなく、第二、第三の矢を持って、横断的に活躍できる人材になりたいです。先ほどのAIの話にもつながりますが、単なる「数値出し屋さん」になってしまってはいけないと思っています。

 具体的には、社内外のさまざまな人とコミュニケーションできる営業力やマネジメント力も身につけたいです。異業種交流会では、全く違う企業や部署で働いている人と話すことで、考え方や知識、視野が広がることを実感しているので、こういう場も活用することを心がけています。直接仕事に結びつくわけではないですが、趣味の映画鑑賞でも、アニメから海外の古典名画、恋愛系や韓国ドラマまで幅広く見て、頭の片隅に戦略のアイデアや考え方をストックしています。もうひとつの趣味の麻雀では、確率を考えて打つタイプですね(笑)。自営業の父の姿をずっと見てきたので、将来的には経営にも興味があります。

―― 高い専門性を基盤として、より知識や視野を広げていく気概を感じました。本日はありがとうございました。


 

【上司の視点】意思を持ってデータに向き合う

 
新井 達也 氏
クレディセゾン カスタマーサクセス事業部 クレジットテックセンター長

 渡邉さんはとにかく業務のスピードが早いということで有名です。データの分析や加工を頼むと、即座にアウトプットしてくれる、非常に高いスキルを持った人材です。また、パソコンに向き合うばかりでなく、誰ともでもコミュニケーションをとれる空気感があり、愛されるキャラクターでもあります。

 彼自身もインタビューの中で述べているように、データ分析や集計という手法に関しては、今後ますます、機械化やAIの活用が進んでいくでしょう。その意味では、彼が現在、強みのひとつとしている「処理のスピード」が、今後もずっと強みであり続けるかは、分かりません。

 今後、大事になってくるのは、そういったツールを使う人が「意思を持っているか」だと思います。自分がどうしたいか。どういうサービスや戦略をつくっていきたいか。集計や分析でデータに向き合う際も、意思を持って取り組むということを意識してもらいたいと思いますし、最終的には意思決定できるような人材になってほしいです。

 まだまだ若いので、これから緻密さも身につけて、いろいろな人と関わりながら、業務を推進していってほしいです。
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