NEW CEO INTERVIEW #01

dentsu Japan 新CEOの佐野傑氏が語る、広告コミュニケーションの拡張

 企業のトップに、新たに就任したリーダーが考えるビジョンや戦略を深掘りし、彼ら・彼女らの挑戦と展望、企業の未来を紐解く新連載「NEW CEO INTERVIEW」がスタートする。

 第1回は、2024年1月1日にdentsu Japan CEO 兼 株式会社電通(以下、電通)代表取締役 社長執行役員に就任した佐野傑氏が登場する。

 佐野氏は、これまで電通の執行役員(ビジネスプロデュース統括)やdentsu Japanの執行役員(BX/DXコンサルティング統括)などを務め事業変革をリードし、電通グループ全体のグローバルなビジネストランスフォーメーションを統括する立場で、グループ全体の成長に注力してきた。常に広告業界の未来を見据える佐野氏にとって、今後の業界はどのように見えているのか、前後編の2回に渡ってお届けする。前編では、就任半年で注力している事業やその成果、AI活用の可能性などについて詳しく聞いた。
 

拡張する3つの価値提供領域と変革の兆し


―― dentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社長執行役員に就任されてから約半年が経ちました。就任後に取り組まれた事業と、その成果をお聞かせください。

 私たちは、複雑化・高度化する企業課題から本質的課題を見出し、統合的なソリューションを提供していくIGP(Integrated Growth Partner)となることを目指し、コンサルティング領域なども含めた多様なサービスとソリューションの統合力で顧客や社会に貢献していこうとしています。
 
dentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社長執行役員
佐野 傑 氏

1970年、神奈川県生まれ。92年東京大学経済学部卒業後、電通入社。ビジネスプロデュース部門を中心に多岐に渡る業務を担当。
2021年、電通 執行役員に就任。その後、イグニション・ポイント、電通コンサルティング、ISID(現電通総研)など国内グループ会社の取締役およびマーケティング・プロモーション、BX/DX領域を管掌。
22年より、電通 統括執行役員および電通ジャパンネットワーク(現 dentsu Japan)執行役員として、国内ビジネスプロデュース部門およびBX/DX領域を統括。
23年より電通グループ グループ・エグゼクティブ・マネジメントとして、グローバル全体のBX CEOを兼務。
24年、dentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社⾧執行役員に就任。

 特にトランスフォーメーション(BX & DX)、マーケティング(AX & CX)、コンテンツ(Sports & Entertainment)と3つの価値提供領域を設定し、ケーパビリティの進化と拡張を進めています。
 
 dentsu Japanが注力する3つの「価値提供領域」

 そうした中で、私たち自身の事業変革と持続的な成長に取り組んでいます。AX(Advertising Transformation:高度化された広告コミュニケーション)、BX(Business Transformation:事業全体の変革)、CX(Customer Experience Transformation:お客さま体験の変革)、DX(Digital Transformation:マーケティング基盤の変革)という4つの事業変革を推進し、変革と成長のサイクルを生み出そうとしています。
 
 dentsu Japanが掲げる「事業の変革と成長モデル」

 変革の兆しは見えてきました。私たちの中核事業の1つである広告を含めたAX領域は、かなり回復してきた印象です。私たちが長らく得意としてきたテレビ、そしてデジタル関連の事業は2023年に少し伸び悩みましたが、2024年の上期は好調です。デジタル関連は市場の成長率以上に伸長しています。BX、CX、DX領域は、近年堅調に推移しています。

 組織風土の進化と変革も進んでいます。さまざまな取り組みが自発的に生まれ、企業文化に磨きがかかってきたと実感しています。実際にクライアントやメディアからも「電通さん、元気になってきたね」と言っていただけています。それが結果的に、私たちを選んでいただけることにつながり、業績にも徐々に表れてきていると感じます。

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