TとVがひとつになって~消費者とマーケティングの視点~ #03
新生Vポイント3カ月、真価が問われる今、SMCCキーパーソンが語る事業戦略【佐々木丈也専務執行役員インタビュー】
2024/08/13
2024年4月22日、カルチュア・コンビニエンス・クラブグループ(CCCグループ)のTポイントと、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)のVポイントが統合し、新生Vポイントとして新たなスタートを切った。統合によって会員数(有効ID数)は1.46億人に上り、日本の人口を超える。アクティブユーザーに絞っても8600万人が使っていることになり、国内外のVisa加盟店でも使えることから、「ポイント経済圏」の競争激化を象徴する動きとして、他のポイントサービスの動きと絡めながら、メディアで連日のように取り上げられた。
新生Vポイントを運営するCCCMKホールディングス(CCCMKHD)と三井住友カード(SMCC)もまた、モバイルアプリの利用やクレジットカードの新規入会でポイントが付与されるキャンペーンを展開し、大盤振る舞いとも呼べそうな一大プロモーションで攻勢をかけた。「祭り」的なスタートダッシュが一息つき、真価を問われるのはこれからだ。
Agenda noteの本連載は事業を中心で担ったキーマンに、消費者、そしてマーケティング領域に対してポイント統合がもたらす影響について連続インタビュー。第3回は三井住友カードの佐々木丈也氏に取材し、総合金融サービス「Olive」の普及を至上命題とするSMBCグループとSMCCが新生Vポイントに感じる手応えと、今後の事業戦略を聞いた。
新生Vポイントを運営するCCCMKホールディングス(CCCMKHD)と三井住友カード(SMCC)もまた、モバイルアプリの利用やクレジットカードの新規入会でポイントが付与されるキャンペーンを展開し、大盤振る舞いとも呼べそうな一大プロモーションで攻勢をかけた。「祭り」的なスタートダッシュが一息つき、真価を問われるのはこれからだ。
Agenda noteの本連載は事業を中心で担ったキーマンに、消費者、そしてマーケティング領域に対してポイント統合がもたらす影響について連続インタビュー。第3回は三井住友カードの佐々木丈也氏に取材し、総合金融サービス「Olive」の普及を至上命題とするSMBCグループとSMCCが新生Vポイントに感じる手応えと、今後の事業戦略を聞いた。
Vポイントはひとつのツール
―― 新規のモバイルVカード登録者が、新生Vポイント開始1ヶ月で100万人を突破したと聞いています。どのように振り返られますか。
比較的順調な立ち上がりと捉えています。既存のTポイント、Vポイントユーザーのお客さまにも、統合によって新たな価値が提供できることを早めに認識し、実際にその価値を感じていただけているというデータが上がってきています。
新生Vポイント開始以降の三井住友カードの新規会員数や、銀行の新規口座開設数などについては、まだ適正に評価できる段階ではありませんが、計画を上回るペースで推移しており、Vポイントの価値を感じていただいたことが影響しているのではと思います。
また、ID連携をするとショッピングポイントと決済ポイントが合算できますが、このID連携についても、今年度だけで1700万ほどを想定していますが、計画通り順調に推移しています。
三井住友カード 専務執行役員 マーケティング本部長
佐々木 丈也 氏
1991年に株式会社三井住友カードに入社。法人営業や商品企画開発を経験後、2012年よりネットビジネス事業部長。2017年統合マーケティング部長を経て、2019年執行役員に就任。2020年より、マーケティング本部長としてTVCM・WEB等のマス広告から、商品企画・CRM・デジマ、データ利活用等、同社マーケティング全体を指揮。2023年4月より現職に加え、三井住友フィナンシャルグループ 三井住友銀行 常務執行役員 グループマーケティングディレクターを兼務。
佐々木 丈也 氏
1991年に株式会社三井住友カードに入社。法人営業や商品企画開発を経験後、2012年よりネットビジネス事業部長。2017年統合マーケティング部長を経て、2019年執行役員に就任。2020年より、マーケティング本部長としてTVCM・WEB等のマス広告から、商品企画・CRM・デジマ、データ利活用等、同社マーケティング全体を指揮。2023年4月より現職に加え、三井住友フィナンシャルグループ 三井住友銀行 常務執行役員 グループマーケティングディレクターを兼務。
―― ID連携は顧客自身によるアクションが必要ですが、これがうまくいっている要因はなんでしょうか。
これは横にいる後藤乾至(マーケティング本部 本部長補佐 IT戦略ユニット トライブリード)が尽力したのですが、Vポイント事業に関わる各種アプリやサイトのUI(ユーザーインターフェース)を分かりやすくし、Vポイントアプリや三井住友カードのアプリであるVpassなど、どの入り口から流入しても同じUX(顧客体験)になるような設計を工夫しました。そのため、比較的スムーズに連携作業をしていただけたと思います。連携によって得られる新たな価値を、メディアでの発信やプロモーションによって認識していただけたことも大きいのではないでしょうか。
新たな価値とはつまり、従来のTポイントはTポイント提携店でしか使えなかったのが、日本の750万店舗、世界の1億店舗にのぼるVisa加盟店でポイントが使えるという利便性の高さです。実際、新生Vポイントのスタート後、Visa加盟店でVポイントを使ってくださる例が増えています。
―― 三井住友カードのアプリであるVpassにも、モバイルVカードを開くボタンがあり、決済とポイントが深く結びついていることが感じられます。
VpassなどモバイルアプリのUI /UXについては、旧Tポイントと旧Vポイントがひとつになって新生Vポイントになったことが視覚的に分かるようなクリエイティブや、Vポイントとの連動性を意識しました。
一方で、あくまでクレジットカードの請求金額などを把握するためのSMCCのアプリとしてのサービス利用や世界観を阻害することのないよう、バランスに非常に気を使いました。これはSMBCグループとして最も強力に推進する「Olive」でも同じことが言えます。
SMBCグループがお伝えしたいのは、あらゆるサービスをモバイルで解決し、お客さまご自身のお得が最大化する世界観です。それを体現するのが銀行、クレジットカード、証券、保険といった各種サービスをスマホアプリと1枚のカードだけでワンストップで利用できる個人向け総合金融サービス「Olive」 です。
使えば使うほど貯められるVポイントは、いわば各種サービスとユーザーとをつないで循環する血液や潤滑油のようなイメージです。Oliveが始まって約1年後のTポイントとの統合は、このつながりを一気にドライブさせる重要なツールであり、画期というように認識しています。