TとVがひとつになって~消費者とマーケティングの視点~ #03

新生Vポイント3カ月、真価が問われる今、SMCCキーパーソンが語る事業戦略【佐々木丈也専務執行役員インタビュー】

 

「1ポイント=1円」以上の価値


―― 新生Vポイントはそれ自体が最終目的ではなく、Oliveを一層推進するフックというわけですね。

 VポイントもOliveも、目指すところはお客さま自身のお得と便利の最大化です。Vポイントの使い勝手を良くして、お客さまがさまざまなサービスを使えば使うほどVポイントが溜まりやすくなる。この循環が非常に大切だと思います。

 昨年3月にローンチしたOliveは5年で1200万アカウント獲得という目標を置いており、昨年の新NISA開始という背景もあって、半年で100万人、1年で230万人に加入していただいて順調に推移しています。従来の金融サービスが、まず銀行に出向いて口座開設をすることから始まっていたのが、デジタルで口座をつくり、決済や投資などさまざまなサービスと組み合わせていくという行動変容が起こってきていています。Olive会員のサービス利用の促進によってVポイントがどんどん貯まっていき、さらに投資や消費などのサービスに使っていただく…という相乗効果が期待されます。
 
複数の金融サービスを1つのアプリやカードで管理・利用できる「Olive」(公式サイトより)

―― 新生Vポイントは、スタート後の「毎日ガチャ」など、大規模なポイント還元キャンペーンが印象的です。還元についてはどのような仕組みになっているのでしょうか。

「ポイント還元し過ぎでは」という声があるのも事実ですが(笑)、そこは経済合理性に則って緻密に設計しています。還元については原則、お客さまからお支払いいただいた事業者がお礼としてポイントをお渡しするという、受益者負担の考え方です。

 Oliveの各種サービスも、複数を組み合わせることでポイントが多く還元される仕組みになっていますが、還元分は各サービスの事業者が分担しています。ショッピングポイントも同様で、三井住友カードで決済いただいた場合であればSMCCが決済分の還元を負担するように、加盟店側もお客さまからいただいた利益に応じて還元します。

 従来のTポイントだと、買い物をすればその商品分しか還元がなかったのが、Vポイントに統合したことで、三井住友カードでの決済を組み合わせることでダブルでポイントが貯まる仕組みになりました。モバイルでのタッチ決済を使えばさらに貯まることになり、これがお客さまのお得の最大化です。

 いわゆる「ポイント経済圏」に縛られず、Visa加盟店ならどこでも使える利便性は、1ポイント=1円という金銭的価値とは別の価値を付与します。我々とCCCMKホールディングスさんが共通して見出した目的がこの「お客さまのお得と便利の最大化」であり、統合に踏み切った一番の理由、そしてお客さまに選ばれる一番のファクターになります。
〈第4回に続く〉
  
新生Vポイント事業にまつわる各種アプリのUI改善に貢献した後藤氏(左)と
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