TとVがひとつになって~消費者とマーケティングの視点~ #04
競合ひしめく中、新生Vポイントが目指す「習慣化」とキャッシュレス社会【SMCC:佐々木丈也専務執行役員インタビュー】
勝負は店に着く前についている
―― 今年4月の新生Vポイントスタートの直前には、JR東日本グループが金融サービス「JREバンク」のスタートを発表、NTTドコモのdポイントもAmazonとの協業開始が発表されるなど、Vポイントを意識したようなポイント経済圏の動きが見られました。競争が激化する中、SMCCがVポイント事業で最優先に見据えるものを改めて教えてください。
繰り返しになりますが、我々が目指すものはユーザーファーストです。お客さまに価値を感じていただけるものを提供し続けるのが使命だと思っています。
ポイント事業で言えば、「ポイントがいかに貯まりやすく、使いやすいか」をどこまで突き詰められるか、そのためにCCCグループさんと協力してどんな商品・サービスのレベルを上げていけるかということに永続的に取り組みます。
そして消費者にとってのお得と便利の最大化は、裏を返せば事業者の集客やデータ活用マーケティングの価値の最大化でもあります。消費者と事業者のニーズの両方に応えていくことが最優先事項です。
―― 生活者としては、いわゆる「ポイ活賢者」のように、最適なポイント選択を瞬時にできる人ばかりではありません。ポイントが乱立して戸惑う生活者もいるのではないかと思いますが、SMCCとしてはそういった消費者にどのように向き合うのですか。
買い物時に、どのポイントサービスを使うかをその場で熟考する生活者というのは、実はそれほど多くないと思います。たとえ、使い方の違いでわずかな還元率の差が生まれるとしても、習慣として根付いているポイントサービスであれば目に入りますし、そうでなければ視界から外れます。
どのポイントサービスを選んでいただけるかは、お客さまがお店に着く前に、勝負は既についていると考えるべきでしょう。選ばれるために我々がするべきことは、お客さまに価値を認識していただく、さまざまな機会を設けていくことです。
Vポイントで言えば、キャンペーン期間中はお得です、ということを発信するだけでなく、Visaで使えるということ、それがどれだけ便利かということ、少なくとも対象のクレジットカードを持っていれば決済ポイントが利用できるということ、また、Oliveの複数のサービスを組み合わせれば、さらに便利でお得だということなど。価値に気づいていただける機会を多く設けることで、Vポイントが一時的でなく習慣として選ばれ、染み付いていくことを目指します。
消費者行動は、慣れたら「横展開」します。コンビニなどでの少額取引から浸透を狙うのも、その先の横展開を見据えているからです。今後も大規模なポイント還元キャンペーンなどを適宜打ちつつ、それだけでは定着は難しいので、日々の消費者コミュニケーションに常にVポイントやOliveが寄り添い、「気づき」の機会を提供していく考えです。
コミュニケーションのチャネルや接点も、フィジカルからデジタルへとシフトさせていきます。モバイルという手段が消費者・事業者双方にとって最も利便性・利得の高い方法だからです。
一方で、東京・渋谷に先日、Oliveをコンセプトにした「Olive LOUNGE 渋谷店」をオープンしたように、価値を体感していただけるリアルのコミュニケーションも活用します。ここでもOlive決済でVポイントが貯めやすい仕組みを導入しており、最初に「サービスとユーザーをつなぐ血液か潤滑油」と申したようなVポイントの効果を、ここでも実感していただけると思います。
――消費者・事業者にとって利便性・利得の高いキャッシュレス・モバイルへのシフトを目指す。その一環としてVポイント事業やOliveのリアル店舗など多彩なコミュニケーションの展開があるのですね。本日はありがとうございました。
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