CATCH THE RISING STAR #14

「ブラックサンダー」商品企画を担当、夢は新ブランド創設【有楽製菓:森田菜穂氏】

 

我が子のような新ブランドを生み育てたい


――普段から、仕事に役立てるよう心がけていることはありますか。

 お話ししたように、トレンドをキャッチアップするようにしています。競合のお菓子メーカーに限らず、さまざまな飲食メーカーがどういう商品を出したり、イベントや広告を行っていたりするのか、情報として知るだけではなく、できるだけ体験するようにしています。

 毎週、さまざまな新商品が展開されるコンビニも重要なチェックポイントです。色んな新商品を買ってきては、他の社員と一緒に食べながら、どう感じたか、どういう味か、こういう点がいいよね、といったことをアウトプットするようにしています。そういった経験を積み重ねることで、自分には無かった視点や、アイデアの提案力を鍛えることを意識しています。

 ちなみに試食については、やはりお菓子メーカーですから、ほぼ毎日、自社ばかりでなく他社製品を含めて何かしら、食べています。食べるのが好きですから、そこは嬉しいですね(笑)。

―― 課題に感じていることはありますか。

 自分のイメージや想いを言葉にして伝えること、それを相手に理解してもらうことがすごく難しいと感じています。有楽製菓は若手でも自分軸で企画を進めさせてくれますが、だからこそ意思を持ち、相手に的確に伝えなければなりません。商品コンセプトをパッケージのデザインに落とし込む時も、目的が整理できていないと、デザイナーさんとの間で齟齬が生じてしまいます。

 たとえば、先ほどお話しした「いちごのサンダーミニバー」のリニューアルでも、キャッチコピーにある「キュン♪と甘酸っぱい」の「キュン♪」という感じや、熟したいちごではなく、ちょっと初々しくて甘酸っぱい感じを出せるピンクにしたかったので、そういう伝えたいことのイメージを言語化して、関係各所に伝えることに苦戦しました。なぜこの新商品を出したいのかや、商品を見た瞬間にお客さまに何を想起してほしいかといったことは、市場調査などの根拠を示しながら、言語化して共有していかなければなりません。

―― 今後の目標を教えてください。

 まずは、現在の業務であるブラックサンダーやチョコケーキといった既存ブランドの中での新商品やリニューアルを着実に行って、世の中に広めたいですが、より長期的な目標としては、新しいブランドや商品を立ち上げたいです。ブラックサンダーやチョコケーキといった1本柱、2本柱に、別の新しい柱が加わったほうが、会社としてもより成長できると思います。ブラックサンダーに匹敵できるようなブランドを生み出すというのが今の夢です。

 私が思い描くマーケター像って、ひとつのイメージがあるんです。それは子どもの頃に観たランキング形式のテレビ番組で、お菓子メーカーの人が、自分の商品が1位になった時に喜んでいた姿で、すごくかっこいいと思ったんですね。私もこういう、お菓子で夢を分け与えられるようになりたい。「我が子」のように大切な新商品を生み育てて、その商品や会社の素晴らしさ、さらには商品を生み出すことの楽しさを伝えていく存在になりたいと思っています。

―― 本日はありがとうございました。


 

【上司の視点】想いと世界観を融合したユニークな企画を

 
杉田 晶洋 氏
有楽製菓 執行役員 マーケティング部長 

 森田さんの「ブラックサンダー」への熱意と、マーケティングに対する姿勢はとても評価できます。入社時面接の面接官も務めさせてもらっていますが、その時から強く印象に残っている人材です。

 有楽製菓が追求する「ワクワク感」を、彼女がマーケティングの観点からしっかりと形にしていることは、今後の成長に大いに期待が持てます。新企画のプレゼンでは、ワクワク感を醸成したいという「想い」と森田さんの「世界観」の融合が、ユニークな企画を生み出しています。社内外の人との接触を増やし、これからその二軸に多様性を付与していってほしいです。

 マーケティング部は、これまで以上に重要な役割を果たしていくと考えています。中途採用が多い中、森田さんのような新卒からのマーケティング職採用は、新しい視点や価値観を組織に取り入れるための戦略的な選択であり、その意義は大きいです。今後も、若手の育成に注力しつつ、有楽製菓の強みを活かした革新的な商品企画を推進していってほしいと期待しています。
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