CATCH THE RISING STAR #15

1年目から新規キャンペーンを主導、生粋の「キャッシュレス派」が三井住友カードで実現したい未来【櫻井光希氏】

 

買い物好き、ユーザー視点生かしたい


―― 今後の目標について教えてください。

 ブラックフライデーのような集計期間の短い瞬発的なキャンペーンは、当社の中でも比較的、新しい取り組みでした。今後はこういう新しい施策にどんどんチャレンジしていきたいです。たとえば、実現可能そうな施策としては、加盟店とのタイアップが考えられます。加盟店で当社のカードを使っていただいた場合に特典を付与するキャンペーンは、売上に直結するだけでなく、その後の継続的なカード利用にもつながるので、まさに「リテンション強化」というミッションに沿うのです。

 個人的には、アパレル系の加盟店とのタイアップキャンペーンができたら嬉しいですね。ファッション好きとしてユーザー目線で企画も考えられると思いますし、何より、自分もキャンペーンに乗っかってお得に買い物したいです(笑)。

 大学生など若年層にクレジットカード利用を促す施策も実現したいです。私自身は大学1年の夏にはすでにクレジットカードデビューしていました。というのも、買い物好きであるにも関わらずお金がなかったので、翌月までにアルバイトでお金を稼いできちんと支払えば、好きなものが買えるクレジットカードはありがたい存在でした。ある意味、クレジットカードを持つことの楽しさも、リスクも当事者として知っているので、カードに抵抗感を持っている若いお客さまにも、楽しく適切にご利用いただけるような施策を考えていきたいです。

 長期的には、新しいサービス・商品開発にも携わってみたいです。当社では個人向け総合金融サービスのOliveなど、デジタルを活用したサービスを次々と生み出していますが、たとえば近年、注目を集めている生体認証での決済サービスなども、興味深く思っています。お財布もスマホも持たず、体だけで店舗に入って、 出てくると決済が完了しているような世界。消費者をダイレクトに活性化させ、行動を変えていくようなアイデアを出していきたいです。

―― 課題に感じることはありますか。

 日々、「課題しかない」という感覚です。ブラックフライデーのキャンペーン以降、ほぼ途切れることなくさまざまなキャンペーンを担当していますが、とにかく一つひとつ、疑問がわいたら潰していく匍匐前進のような日々です。

 何を進めるにも知識も経験もスキルも足りていませんが、自分の中でマーケターに向いているなと思うのは、普段から好奇心を持って、最新情報やトレンドをキャッチアップするようにしていることです。Instagramを中心に、たとえば自分の好きなファッションや音楽に関しては、特にメディアや熱狂的なファンをフォローすることで、効率的に先端情報を拾うようにしています。インフルエンサーが紹介する服もいいなと思ったら買ってみたり、男性誌ばかりでなく女性ファッション誌を見たりするのも好きです。こういった興味関心は、プロモーションでユーザーに訴える文章を考える時や、企画を考える時に役立てられると思います。

 決済を扱っているため、消費者の方の膨大な情報を持っていることになり、かなり細かな設定のペルソナ設定やセグメンテーション、ターゲティングが可能になります。これらを生かして加盟店さまや世の中、当社にとってもウィンウィンとなる施策やサービスを提案していきたいです。一方で、当然ではありますが、これらのデータの取り扱いには細心の注意を払う必要があり、ポイント還元やメール送付においても、間違いは許されません。法的な制約もある中で、いかに自由で大胆な発想を実現できるか、模索していきたいです。

―― 本日はありがとうございました。


 

【上司の視点】高い提案力、環境変化も柔軟に

 
湯阪 雅之 氏
三井住友カード マーケティング本部 マーケティングユニット トライブリード

 櫻井さんはコミュニケーション力が高く、お客さまや関連各部の方々としっかりリレーションを結べるというのはマーケティングにおいて強みだと思います。特にお客さまについては、入会を希望される動機やタイミングもさまざまな中で、それぞれのニーズをしっかり汲んで、押し付けがましくない多彩な切り口のキャンペーン等の施策をどんどん提供していかなければなりません。

 どの企業でも言われることですが、顧客を起点としたマーケティングが重要になる一方、顧客理解は非常に難しく、キャンペーンひとつとっても、こちらの想定していない理由で参加してくださるお客さまもいらっしゃいます。そんな中で、高いモチベーションを持って顧客リサーチに取り組み、課題を体系的に認識して、何がお客さまを動かすインセンティブになるかという切り口を提案することにかけて、櫻井さんは素養があると思っており、期待しています。

 マーケティングユニットでは約2年前から「アジャイル組織」と呼ばれる、プロジェクトごとに少人数のスクアッド(グループ)を組んで、ターゲットを明確にして足元の課題にスピード感を持って対応する体制を導入しています。櫻井さんもブラックフライデーのキャンペーンなどの案件を担当し、ベースとなる知識やプロセスの手法を周囲から吸収して進めてくれました。

 一方で、クレジットカードや決済、DXを巡る環境は目まぐるしく変化していて、成功体験にとらわれると、あっという間に顧客を見失ってしまいます。これは私自身の課題でもありますが、成功しても毎回リセットして、柔軟にお客さまに向き合うということを実践していってほしいと思います。
他の連載記事:
CATCH THE RISING STAR の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録