パナソニック コネクトから学ぶ「B2Bマーケティングの本質と成果を上げるための実践」 #01

「顧客・社会と共に、継続的に価値を創り、伝え、見届ける」B2Bマーケティングの本質【パナソニック コネクト 関口昭如氏】

 

B2Bビジネスにおける「顧客」のとらえ方の難しさ


 ひと口に「顧客」といっても、B2Bにおいてはさまざまな意味を持ちます。パナソニック コネクトなど企業名も顧客と呼ばれますし、パナソニックグループという名前で顧客と呼ばれていることもあるかもしれません。

 通常営業アカウントとしてとらえるのは、XXXX社XXXX事業部など、事業部レベル、あるいは部署レベルも多いです。また、マーケティングでいわれるリードという個人情報では、個人レベルの顧客と捉えることもできます。また同じ企業名でもある商品では競合であったり、別な商品ではパートナーだったりもします。

 B2Cでは住宅や自動車などの耐久消費財のような場合を除いて、スマホの例など、概ね使う人と選ぶ人が同じというケースが多いですが、B2Bでは稟議や決裁という言葉があるように、メインの選定者のほかにエンドユーザー、アドバイスを送る部門、コスト最適を狙う調達部門、さらには顧客企業のさらに先の顧客など、さまざまなロジックで選定されます。

 力関係や影響力も顧客によってさまざまです。また選定部門がうまく選定していても、エンドユーザー部門やエンドユーザー顧客がその価値を認識していないケースもありえます。また顧客の経営層が感じる価値と、現場部門で感じる価値が違うこともありえます。その他、他の案件から派生してきているニーズ(派生ニーズ)が大きい場合は、「顧客の先の顧客、顧客の先の公共事業」などもある意味顧客として管理する必要もあるかもしれません。

 こういった顧客の複雑さのなかで、B2Bマーケティングを行っていかなければなりません。その意味でも顧客の捉え方やその解像度、パターン化は非常に大事なことであり、その顧客情報の管理が重要になります。

 B2Bマーケティングでは、比較的一度購入した顧客を特定しやすいといった特徴もあげられます。そのためCRM(Customer Relationship Management :顧客関係管理)には力を入れている企業も多いです。比較的といったのは、B2Cマーケティングでは顧客の特定が困難なケースが多くあるための対比だと思います。たとえば、消費者がコンビニの店頭でアイスクリームを購買したときや、量販店で家電を購入したときに、その瞬間では企業が顧客を特定しにくい現状があることなどによります。

 B2Bで一度購入した顧客を特定しやすいというには、概ねYesなのですが、注意も必要です。再販パートナー経由の購入や調達など、実際には顧客の意思により契約が生まれた場合も考慮して本当の顧客を特定できているのでしょうか。どこまでをどの粒度で、どのように関係づけて管理するのか。その意味で、顧客の特定と管理には各社の工夫が必要でB2Bマーケティングと切っては切れないものになります。

 そのため、マーケター側は自分たちのみならず、事業関係者の各職能と連携して顧客の解像度を高め続ける努力や活動が不可欠となります。顧客像が見えにくい中で活動をする大変さと向き合っていくのが、B2Bマーケティングの仕事でもあり、醍醐味のひとつです。

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