TOP PLAYER INTERVIEW #74

31年ぶり「Jリーグカレー復刻」の企画者 竹渕祥平氏が明かす、話題化させるための思考法

 

お茶の間で話題になるための全体設計


―― 結果的に、企画の目標やKPIにはどのようにつながったのでしょうか。

 前提として、まずメディア露出に関するKPIは広告換算としています。実際にテレビにどれだけ取り上げられて、世の中のお茶の間にニュースとして出たのか、スポーツ関連のWebメディアに普段の試合結果の報道とは別の切り口で取り上げられているかなど、その本数や時間を広告換算して目標を設定しています。

 加えて、ファン・サポーターの関心度は、なかなか定量化しづらい部分ではありますが、施策の前後で対象者がどのメディア接点からどれだけ態度変容したのかをリサーチしています。施策にかけた予算に対して、メディア露出という形での金額価値と合わせて、態度変容に繋がることが重要です。また、うまくいかなかった場合も企画毎に数値化していれば、それをもとに改善点をしっかりと洗い出して次の企画に生かすことが可能です。

 今回の企画では、SNSでの話題化(関連投稿を合わせると約1000万imp/多くのファン・サポーターのUGC投稿が生まれる)と共に、テレビ露出が非常に伸びました。私が所属する事業マーケティング本部 プロモーション部内にはテレビ局との連携を強化させる チームもあります。一方的に、「テレビで取り上げてください」とアプローチするのではなく、メディアの皆さんと一緒にタッグを組みながらどうすればJリーグが話題になるかと日々考えています。



「Jリーグの日」に関しても、かなり早い段階から企画の内容をJリーグのメンバーがテレビ局の担当者に共有していました。そのため、ただ単にプレス向けのイベントに招待したからテレビに出してもらえたということではなく、事前に企画を提案する中で、どういう情報を出せばお茶の間の話題として取り上げていただけるかといったことも含めてコミュニケーションした上で、全体を設計していったことがメディア露出にも直接繋がったと思います。

 お互いにとってプラスになることをコミュニケーションしていくことはもちろん重要ですが、ただただ受け身になるのではなく、その関心をいかに高められるかが重要です。テレビ局やWebメディアの方々にもJリーグを応援してくれる人がいるので、その人たちとコミュニケーションを重ねることで、情報を受け取る人たちが面白いと思ってくれる企画を一緒につくりあげています。

 そうすることで、メディア露出が増えるとお茶の間の関心度が上がってスタジアムに足を運ぶ人が増えます。スタジアムに足を運ぶ人が増えると、またテレビで取り上げる意味がでてくるので、そのようなループを生み出していくことを意識して動いています。

―― 今回、企画のメインターゲットは30代後半~40代だと伺いましたが、ほかの世代に対してはどのような戦略でアプローチしたのでしょうか。

 まずターゲットであるコア層に対しては、熱量を高められるように1993年当時のJリーグカレーのCMに出演していた、当時小学生だった「まさおくん」役の石山昌さんを「復刻版Jリーグカレー2024年篇」ではお父さん役として起用することで、「まさおくん」と同世代に響くような設計にしました。

 それに加えて、ラモス瑠偉さんにも登場していただくことで、ラモスさんの同世代に当たる50代後半~60代前半の層にも懐かしさを感じてもらえたと思います。また「Jリーグの日」である5月15日と、それ以降のスタジアムでトークショーを開催し、そこでもJリーグカレーを直接ファン・サポーターに配布したりもしました。そうすることでコア層の親子だけでなく、その上の世代も含めてJリーグへの関心を高めるきっかけをつくったことで、懐かしさの設計が幅広い年齢層にリーチできたのだと思います。
  
ラモス瑠偉氏(左)と、当時小学生だった「まさおくん」役の石山昌氏(右)がお父さん役として登場

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