広報・PR #18

都市型水害・台風、2024年の災害事例から気候変動時代の広報マニュアルを考える

 

事後対応と長期的な信頼回復


 災害の影響は長期に及ぶことが多い。特に、気候変動の影響と思われる異常気象が頻発する中、企業の長期的な対応策が注目されている。

 長期的な信頼回復のための施策

1. 定期的な進捗報告
復旧・復興の状況を定期的に報告し、透明性を確保する。

2. 防災・減災への取り組み
気候変動を考慮した新たな防災・減災策を策定し、公表する。

3. 社会貢献活動の継続
被災地支援や防災教育など、長期的な社会貢献活動を展開する。特に、都市型水害など新たな形態の災害に対する啓発活動も行う。

4. ステークホルダーとの対話
定期的に意見交換の場を設け、ニーズや期待を把握する。オンラインでの対話の場も設ける。

5. 経営戦略への反映
災害対応の教訓を経営戦略に反映し、その内容を公表する。特に、気候変動への対応策を明確に示す。

6. 従業員のケア
メンタルヘルスケアなど、長期的な従業員支援策を実施する。特に、在宅勤務の増加を踏まえ、オンラインでのケア体制も整備する。

 また、災害対応の振り返りと評価を行い、その結果を今後の対策に反映させることで、企業の災害対応能力を継続的に向上させることが可能となる。この際、外部の専門家の意見を取り入れることで、より客観的な評価と改善が可能になる。

 災害広報は、単なる情報提供にとどまらず、企業の社会的責任と危機管理能力を示す重要な機会でもある。近年の自然災害の激化と頻発化を踏まえ、より柔軟かつ迅速な対応が求められている。繰り返しになるが、ゲリラ豪雨や線状降水帯による突発的な災害、都市型水害など、これまでになかった形態の災害にも対応できる広報体制の構築が重要だ。

 企業は、災害広報を通じて社会との関係性を再構築し、より強靭な組織へと成長する機会を得ることができる。そのためには、平時からの準備と訓練、発生時の迅速かつ適切な対応、そして事後の継続的な取り組みが不可欠である。気候変動の影響が顕在化する中、効果的な災害広報は企業の存続と発展に直結する重要な経営課題であり、経営陣のリーダーシップのもと、全社を挙げて取り組むべき課題となっている。

 自然災害は、企業にとって大きな試練であると同時に、社会との絆を深め、信頼を築く機会でもある。私たちは、広報のプロとして、この困難な時代を乗り越え、企業と社会のレジリエンスを高めるために、全力を尽くさなければならない。
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