広報・PR #20

『SHOGUN 将軍』と真田広之、個人ブランドが世界を動かす大きな力になる

 2024年9月15日、米国・ロサンゼルスのハリウッドにてテレビ番組などに贈られるエミー賞で『SHOGUN 将軍』が18部門を受賞し、日本にゆかりの深い作品が国際的に大きな成功を収めた。これは、単なる一作品の評価を超え、日本のエンターテインメント産業全体のブランド価値と国際的評価を飛躍的に高める出来事であったと私は感じた。日本の業界全体の未来を方向づける瞬間だったといっても過言ではない。日本の伝統的な物語や文化が、どのようにグローバル市場に適応して評価されたのか、マーケティングや広報・PRの視点から、今後の展開を探っていきたい。
 

『SHOGUN 将軍』のブランディングと真田広之氏の成功


『SHOGUN 将軍』は、日本の文化的アイデンティティを保ちながら、国際市場で成功するためのマーケティング的なアプローチの可能性を示している。

 私がこう思うのは、『SHOGUN 将軍』は単なる時代劇に留まらず、世界の視聴者に対して日本文化への深い理解を促すきっかけを与えたといえるからだ。

 日本の映画監督として有名な黒澤明監督や、『ラスト サムライ』といった日本文化を題材にした作品は、特定の層に強く支持され国際的にも高い評価を得てきた。たとえば、黒澤明の作品は映画監督や批評家に影響を与えたことが知られている。しかし、その訴求力は、映画通や日本文化に詳しい視聴者にとどまっていた。2003年には、ハリウッドスターのトム・クルーズによって映画『ラスト サムライ』が公開されたが、エンターテインメント性が強調されたため、日本の歴史的背景に共感が生まれにくい面もあった。

 一方で、日本の伝統的な時代劇、特に「チャンバラ」と呼ばれる剣劇アクションは国内では長年愛され続けてきたものの、国際市場での訴求力は限られていた。時代劇は、戦後の日本でテレビや映画の主要なジャンルとなり人気を集めたが、剣劇を中心としたストーリーや歴史的な背景に深く依存する内容が多かったため、海外の視聴者にはその魅力が伝わりにくい傾向があったのだ。

 しかし、『SHOGUN 将軍』は、この伝統的な時代劇の枠組みを超え、国際的な視点からより普遍的なテーマを取り入れた。権力闘争や文化衝突、愛といったテーマは時代や国を超えて共感を呼び、日本文化に疎い視聴者も理解しやすいものとなっている。また、日本の伝統的な剣劇に象徴される美学や武士道精神も、現代の視覚的に洗練された映像技術や国際的な制作手法によって、さらに引き立てられた。

 1. 普遍的なテーマ
権力闘争や文化衝突、愛などのテーマは、時代や国を超えて共感を呼び起こし、現代の視聴者にも響いている。

 2. 国際的な制作アプローチ
日本の伝統文化を忠実に描きながらも、ハリウッドの制作手法を取り入れることで、異なる文化圏の視聴者もわかりやすく楽しめる作品に仕上がっている。

 3. 視覚的な魅力
高品質な映像技術と壮大なロケーションが、視覚的な訴求力を増幅させ、エンターテインメントとしての魅力を高めている。

 これらにより『SHOGUN 将軍』は、従来の日本文化を扱った作品とは異なり、国際的な視聴者に向けて成功を収めたのである。

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