TOP PLAYER INTERVIEW #76

なぜサントリーウエルネスは「マルチチャネル戦略」に踏み切ったのか? 初の40~50代ミドル向け商品に託す新戦略

 

過去の成功モデルから脱却し、店頭販売に踏み切る


―― セサミンバイタルは、セサミンの成功モデルである「ダイレクト通販モデルからの脱却」を掲げ、サントリーウエルネスとして初めて「ECモール・店舗流通」を主体とした商品発売を行いました。その狙いを教えてください。

日比谷 もともとサントリーウエルネスはダイレクトマーケティングが得意で、トライアルしてもらったお客さまの情報を把握し、その後は手紙を送ったり、同梱物でご案内したりして、CRMプログラムを通じて一人ひとりにフォローしていくのが強みでした。しかし、ミドル世代のお客さまには、こうした手法はあまり好まれない傾向があり、企業からの電話や手紙を敬遠するケースも少なくありません。

ミドルのお客さまが一番求めている接点は何か、インタビューを重ねた結果、ドラッグストアに週に何回も訪れる人や、ECモールで商品レビューや口コミを吟味した上で購入している人が多くいる、という実態が見えてきました。その結果から、当社として初めて店頭販売に進出する判断をしました。

大塚 全社的にも、限られたお客さま向けに直販という限られた手法だけで商品を流通させていいのかという課題意識があり、その課題意識と今回の新商品の販売タイミングがちょうど合致したのです。
  

―― 「ECモール・店舗流通」と一括りにしても、ECモールと店舗流通でも戦略や施策などが大きく異なると思います。それぞれの販売チャネルに対して、どのような戦略を組み立てたのですか。

日比谷 店舗流通は、お客さまとの偶然の出会いを意識し、トライアルしていただくためのメディアと位置づけています。その場で購入してもらうことも狙っていますが、店頭で商品を見てもらうことで、お客さまの頭の引き出しの中に入るといった商品認知のメディアとしても活用できるのです。

一方で、Amazonや楽天などのECモールは、他のお客さまのレビューや評価を見て、そのまますぐに購入を判断できる、比較検討が前提のメディアであると位置づけています。多くのお客さまは、店頭で商品を見た後にECモールで価格や評価、口コミなどを確認するといった行動をとるのです。

大塚 そのため、店頭ではパッケージやPOPを通じて商品内容をしっかり伝えられるよう、店陳列スペースを最大限に活用しようと社内では話していました。商品の形状をパウチにしたのもそうですし、店頭什器も面をとることを意識しました。
  
店頭で販売されている様子

ただ、その一方で、こうしたチャネルではお客さまの情報を直接把握しづらいという難しさも感じています。そのあたりは、今後の課題として出てくると考えています。

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