TOP PLAYER INTERVIEW #76
なぜサントリーウエルネスは「マルチチャネル戦略」に踏み切ったのか? 初の40~50代ミドル向け商品に託す新戦略
『セサミンバイタル』はミドル層向け商品のファーストペンギン
―― セサミンバイタルのターゲットである40~50代のミドル世代に届けるために、どのようなプロモーションを展開したのでしょうか。
日比谷 当社からマス向けによい商品を宣伝するのではなく、実際に渾身の商品を実感いただいた上で、「これ良かったよ」とお客さま自身が発話して、新たに興味を持った人にトライアルしてもらう、といった流れを狙っています。
現在は、売上よりもサンプリング数を優先し、色んな疲労感を抱えているミドル世代にまずは配るようにしています。サプリメントは自分の健康への影響があるので、サンプリングのときに生身でそのまま渡されるのは抵抗があると思います。そこで、ギフトボックスやお手紙調にして「私と同じ疲労感に悩んでいる、あなたへのギフト」と工夫してお渡ししています。このようなサンプリングは、サプリメントとしては初めてのことでした。
今回、田中圭さんを「セサミンバイタル」のアンバサダーとして起用したことも、私たちの中では狙いがありました。ちょうど40歳であり、キラキラしているけれど実際は疲労感が取れていないといった意外性も意識して起用しています。
最初は電車内のステッカー広告で「セサミンバイタル」を提示したのですが、それを見て田中圭さんのファンがX(旧Twitter)で「#セサミンバイタル」をつけて、仲間内で情報交換をしていたことは、嬉しい想定外でした。
発売初日はテレビCMも投下し、とても話題になって、田中圭さんのファンにまた広げていただきました。意図していない場面で発話が起きたことは、今回チャレンジして良かった点の1つです。
大塚 今回で得た知見を活かせば、サントリーの他のビジネスでも、マルチチャネルの経験を活用した仕組みを構築できると考えています。
それぞれの世代のお客さまに合わせて、今後どのような形でメディアミックスしていくかは、これから学んでいくポイントでもあります。最初は店舗での購入が便利だったけれども、やっぱり自宅に届くほうがよいな、といったニーズの変化も起きると思います。今回の新商品に限らず、全社的にも今後はマルチチャネルで売っていく方針です。