TOP PLAYER INTERVIEW #76

なぜサントリーウエルネスは「マルチチャネル戦略」に踏み切ったのか? 初の40~50代ミドル向け商品に託す新戦略

 

「個」客原理主義の考えのもと、いち生活者目線で届け方を考えた


―― 今回の「セサミンバイタル」の新たなマーケティング戦略は、貴社全体の戦略にどのような影響を与えていくと考えていますか。

日比谷
 「経路依存性」という言葉が示す通り、私たちはどうしても過去の成功にとらわれて、お客さまを近視眼的に見てしまうことがあります。実際、当社も「これまでと同じようなお客さまとしか出会えていない」という課題に直面していました。私は今38歳ですが、妻や知り合いを含め、同じ世代の人はやはり疲労感という悩みを持っています。

そのため、そういった人と価格だけでなく、商品を受け取ったときにどう感じるかを、同じ「いち生活者」の目線で向き合うことが大事だと思いました。自分や身近な家族や友人を救うという気持ちで、どのように商品をお届けできるかを考える姿勢は、個客原理主義にもつながります。このような手触り感への意識は、今回のひとつのポリシーにしました。
  

大塚 私もブランドマネージャーをしていると成分の機能をもっと伝えたい、もっと売りたいといった思いが生まれてきます。しかし、いち生活者の自分がお金を出して買うとしたら、どのような届け方がよいだろうか、とリアルに考えるようにしました。お客さまの気持ちに寄り添うことが、とても重要だと感じています。

お客さまが口頭で話すことと実際に考えていることは、実は異なります。その違いを見つけることがインサイトを見つける上で大切だと思っています。いろいろな場面を通して探ることがとても重要です。

―― 最後に、今後の目指す方向性や展望について教えてください。

日比谷 約20年前であれば、「自分にムチ打つためのサプリメント」といった打ち出し方が最も響いていたと思います。しかし今は、就業時間内に業務を終わらせ、効率を考えた生活をしなくてはいけない時代です。仕事を終えて家に帰ったら、今度はお子さんの世話や家事などをして、板挟みになりながら何とか毎日を送っていく…。

そのときの抗いきれない疲労感を、何とかその場しのぎで対処しているということが、お客さまの実態です。だからこそ、当社の商品が役に立つと考えています。忙しいミドル層のお客さまの心と体の支えになれるよう、商品の価値をしっかり伝えていきます。
  
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