「迷ったら、削る」グローバル戦略の描き方 #05
パナソニック コネクトのパーパス策定3つのポイント、国内外から共感を呼ぶメッセージ開発の全貌
ユニクロのAIチャットボット 「UNIQLO IQ」や世界中の着こなし・コーディネート情報を検索できる「StyleHint」のコンセプト・開発・UXデザイン、P&G パンテーンのキャンペーン「#この髪どうしてダメですか」、味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」などを手掛けてきた高宮範有氏。
2019年のI&COの東京オフィス開設をリードし、2024年にI&CO APACの代表に就任した同氏が、I&CO創業から8年で培った実績と、アジア各国のスタートアップ約250社と情報交換する中で見えてきた国境を越えるブランディングに大切なことを解き明かしていく連載「『迷ったら、削る』グローバル戦略の描き方」。
第5回では、I&COが支援した2022年4月発足のパナソニック コネクトのパーパス策定と、そのパーパスを社内外に伝えるためのコミュニケーション事例を紹介します。グローバルでBtoB向けのソリューションサービスを提供する同社が社会に存在する意義を示し、ステークホルダーの共感を得るためにどのようなメッセージを伝えたのか、3つのポイントを解説します。
2019年のI&COの東京オフィス開設をリードし、2024年にI&CO APACの代表に就任した同氏が、I&CO創業から8年で培った実績と、アジア各国のスタートアップ約250社と情報交換する中で見えてきた国境を越えるブランディングに大切なことを解き明かしていく連載「『迷ったら、削る』グローバル戦略の描き方」。
第5回では、I&COが支援した2022年4月発足のパナソニック コネクトのパーパス策定と、そのパーパスを社内外に伝えるためのコミュニケーション事例を紹介します。グローバルでBtoB向けのソリューションサービスを提供する同社が社会に存在する意義を示し、ステークホルダーの共感を得るためにどのようなメッセージを伝えたのか、3つのポイントを解説します。
ポイント1:「生み出す」のではなく「探し出す」
パナソニック コネクトは、旧パナソニック コネクテッドソリューションズ社時代から一貫して「現場」というキーワードを大切にし、「現場プロセスイノベーション」を掲げてきました。この言葉には「顧客企業の現場をサポートし、現場をイノベーションすることで顧客に価値を提供し、ひいては社会に影響を与える」という同社の存在意義が込められています。
I&COの役割は、その想いを社員やステークホルダーにとって覚えやすくインパクトがあり、かつグローバルで通用する表現に落とし込むことでした。パーパスの策定は、新しい何かを生み出すことではなく、もともとその会社の中に存在するもの、いわば岩石の中に隠れているダイヤモンドの原石を探し出して、研磨するようなプロセスです。
このプロジェクトを進めるにあたり、まずはパナソニック コネクト社内外の関係者と意見交換を重ねました。同社のBtoB事業は、BtoC事業に比べて事業内容を一言で表現することが難しく、さらにサプライチェーンから生活インフラ、エンターテインメントまで幅広い分野にわたるため、社会にどのような価値を提供しているのか、全体像をつかみにくい状況がありました。こうした点を理解した上で、同社の強みを掘り出す作業に着手しました。
グローバルで事業を展開しているため、国内だけでなく、米国、欧州、アジア、オセアニアなど各地域の経営者や関係者にもヒアリングする必要があります。私たちはプロジェクト初期の数カ月間で徹底的なリサーチとヒアリングを実施し、全世界3万人の社員に共感してもらう表現を模索しました。