「迷ったら、削る」グローバル戦略の描き方 #05
パナソニック コネクトのパーパス策定3つのポイント、国内外から共感を呼ぶメッセージ開発の全貌
ポイント2:伝わる表現を追求する
最適な表現を探す上で大切にしたのが、単なる日本語の翻訳ではなく、日本語と英語それぞれできちんと思いが伝わること、そしてパナソニック コネクトらしさを追求することでした。その結果生まれたのが、日本語では「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」、英語では「Change Work, Advance Society, Connect to Tomorrow.」というパーパスです。
「現場」は同社にとって非常に大切なキーワードですが、多くのニュアンスを含んだ日本特有の概念といえます。その言葉にこだわり過ぎて、英語で「Gemba」「Site」を使用すると、本当に伝えたかったことがうまく伝わりません。全世界の社員に共感してもらうには、きちんと思いが理解される言葉を選ぶ必要があります。
I&COではニューヨークと東京でシームレスにコミュニケーションできるというチームの特性を生かしながら、英語と日本語の構造の違いにも配慮し、パーパスの開発を進めていました。具体的には、「日本語を英語に訳す」か「英語を日本語に訳す」というどちらかが上位になる方法ではなく、それぞれの言語で同時に素案を作成し、日英相互にフィードバックをしながら磨いていくプロセスを採用しました。
その過程で、日本語の行間に含まれる意味合いを英語に込めるためにはどうすればいいのか、英単語のニュアンスを日本語でも表現するにはどうしたらいいのかなど、相互に影響を与え合うことで、より研ぎ澄まされた表現に辿り着きます。
普段から英語を話す人が読んでも不自然にならず、日本語を話す人にとってもしっくりくる表現にできるかが、グローバルにビジネスを展開する企業にとって不可欠な視点になります。そして、日本語と英語のパーパスを策定した上で、その背景を説明する「Our Story」も作成しました。これも日本語と英語で開発しています。