「迷ったら、削る」グローバル戦略の描き方 #05
パナソニック コネクトのパーパス策定3つのポイント、国内外から共感を呼ぶメッセージ開発の全貌
ポイント3:一過性で終わらせない仕組みを設計する
近年、多くの企業がパーパスを策定するなど、「パーパスブーム」のような状況となっています。もちろんパーパス策定は企業にとって大切なことですが、壮大なパーパスを掲げるだけで終わってしまっては意味がありません。
パナソニック コネクトではパーパス策定と並行して、事業領域も見直しました。アルファベットの「C」と「O」がつながったロゴの周囲に同社が提供するテクノロジーやサプライチェーンを配した概念図をつくり、パーパスやOur Storyの内容が事業領域に反映されたことを表すようにしました。
また、新たなパーパスを世の中に発信していく方法として、その存在を象徴的に伝えるアンセムムービーと、具体的な現場を紹介する映像を制作しました。プロジェクトチームの一員である電通が制作を主導し、「かなえよう。」のコピーとともに、パナソニック コネクトの「現場」が一般のお客さまの生活にどのように貢献しているのか、さらに人とソリューションがコラボレーションすることで何を実現できるのかを、わかりやすく伝えています。
アンセムムービーでは、サプライチェーンが高度につながることで諦めていたことが叶う様子を表現しています。ただ、動画の中に登場するカメラやロボティクスは同社の研究開発部門の協力を得ており、いずれも実現可能なテクノロジーです。
そして、同社はパーパスの策定と並行して、それを体現し続ける行動のひとつとして、社内の多様なメンバーが未来の働きやすさを議論する探索型の会議「Gemba Roundtable」を発足しています。I&COはパーパス策定の支援から伴走を続け、それが一過性のコミュニケーションで終わらないよう、現場の社員と経営層が共にパーパスに向き合い、未来の働き方を議論するというプログラムの設計を支援しました。その議論の場で出た意見やアイデアは、実際にパナソニック コネクトの人事施策会議のテーマで取り上げられています。
今回は、グローバル組織の志をひとつにするためのパーパス施策やインナーブランディングにおいて、重要な3つのポイント「『生み出す』のではなく『探し出す』」「伝わる表現を追求する」「一過性で終わらせない仕組みを設計する」を解説しました。
日本語だけでなく英語でも同時並行に考えることで、日本国内に閉じないグローバルに広がりのある仕組みを生み出すことが出来ます。それらを単発な施策ではなく、いかに継続的な仕組みとして設計できるかも、重要なポイントです。
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