マーケターズ・ロード 笹本裕 #01
元Twitterジャパン社長の笹本裕氏が語る、逆境を乗り越える思考術
破壊と創造は次のステージに進むための痛み
―― そのような状況の中で日本の社員に対して、どのような言葉をかけられたのでしょうか。
当時の社員には、「表面的に動揺せず物事を冷静に分析することが大切です。ここまで社員数が増えても開発が進まなかったことを踏まえ、組織が簡素化されれば、仕事の進行速度も速くなり、よい結果が生まれるはずです。頑張りましょう」とポジティブな言葉をかけました。
私が経験した215日間に限らず、人生は常に多かれ少なかれ壁や困難があり、「この先どうなってしまうのか」という恐怖感を感じる場面があると思います。しかし、出口のないトンネルはありません。いつかはやり切れるし、命がある限りは何とかなる。そういった考えが自分の中にはあります。
楽観論と悲観論があるとしたら、私はこうした困難に直面したとき、楽観論をどう利用して前進するかを常に考えていました。この考え方を当時いた社員にも伝えることで、精神的な支えになればという思いでした。もちろん私自身も動揺していましたが、それを隠しながら、社員に冷静に説明するように心がけました。
人間の成長期に関節や骨が痛くなるのと同じように、組織や事業の成長には痛みが伴うものです。この「破壊と創造」のプロセスもまた、私が次のステージに進むための痛みなのかもしれないと捉えました。
その後、イーロンはBBCニュースのインタビューで、一連のTwitter買収について「痛みのレベルは非常に高い」と語っていました。本音の部分はわかりませんが、彼にとっても大変な破壊と創造だったのだと思います。
※第2回 なぜ元Twitterジャパン社長の笹本裕氏は、次のキャリアにDAZN Japanを選んだのか に続く
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