マーケティング・ビジネス課題を解決する学術研究 #02

マイケル・ポーターの戦略論は時代遅れ? GoogleやAppleなども実践する戦略スタイルの現在形とは

 

5つの戦略スタイル


 ポジショニング派やリソース・ベースド・ビュー派、3Cといったフレームワークで描かれる戦略に「伝統型」というラベルを付け、それらが特定の事業環境でのみ有効であると論じている人がいます。その代表的な論者が、ボストン コンサルティング グループのマーティン・リーブスとジャンメジャヤ・シンハ、そしてIMD(国際経営開発研究所) 教授のクヌート・ハーネスです。

 彼らがハーバード・ビジネス・レビューに投稿した「Navigating the Dozens of Different Strategy Options (数十ある戦略の選択肢を操る)」では、1958年「アンゾフ・マトリックス」から2013年「一時的競争優位」まで、81の戦略ツールやフレームワークを俯瞰的にレビューしています。そして、それらの戦略が適合する事業環境を分類しています(Reeves et al. 2015)。
  
図:5つの戦略スタイル (Reeves et al. 2015)(及川翻訳)
※NPVI:New Product Vitality Index。過去5年以内に発売された新製品の売上が売上高全体に占める割合

 リーブスらは、戦略の前提となる事業環境について以下の3つの軸で分類し、それぞれに適合する戦略を整理しています。

 1. 不確実性:将来の環境をどれほど予測できるか
 2. 改変可能性:独力あるいは他社と協働して環境にどれほど影響を及ぼせるか
 3. 過酷さ:自社がその環境で生き残れるか

 このうち環境が過酷な状況においては上記の図の右側にあるように「再生型」の一択ですが、それ以外の環境が平常な状況では不確実性と改変可能性それぞれの高低により「伝統型」「先見型」「形成型」「適応型」の4つの戦略スタイルがあるとされています。
 
伝統型:不確実性が低く、改変可能性も低い環境で有効
先見型:不確実性が低く、改変可能性が高い環境で適合
形成型:不確実性が高く、改変可能性も高い環境で有効
適応型:不確実性が高く、改変可能性が低い環境に適合

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