TOP PLAYER INTERVIEW #80
競争激化の保険業界で「尖った顧客体験」を追求、SOMPOひまわりCDOが語るLTV向上の秘策
2024/12/19
「健康応援企業」として唯一無二の顧客体験を
―― インシュアヘルス商品で170万件の加入実績というのはどう評価されるでしょうか。生命保険は顧客にとって「どれがいいのか分かりにくい」という印象を抱かれがちですが、どう差別化しているのですか。
国内の主要生命保険会社の各社が「健康」を謳う、あるいは想起させる保険商品を出しています。しかし、累計販売件数が160万を超えているのは当社を含めて3社しかなく、当社のインシュアヘルスがお客さまに支持をいただいているということだと考えています。また、当社では既に、新規契約いただくお客さまの約9割はインシュアヘルスに加入していただいいます。「健康」関連商品が売上のメインになっているのは、3社の中で当社だけです。このような点からも、お客さまにインシュアヘルスの価値を感じていただけているのではないかと考えています。
インシュアヘルスのユニークさは、単に保険にヘルスケアサービスが付帯しているのではなく、健康になると保険料割引になることや、健康応援に直結する保障になっていることなど、ヘルスケア機能と保障機能が高次元で融合していること、そして融合しているからこそ実現できる顧客体験にあります。
今後、保険商品やヘルスケアサービスの機能面で差別化しにくくなる中で、将来の競争力を決めるのは「顧客体験の洗練度」にあると思っています。お客さまにインシュアヘルスを使って健康になっていただく顧客体験を飛躍的に高めること、「健康応援企業」だからこそ実現できる唯一無二の顧客体験を創出することが将来の競争力になると考えています。
私はこのインシュアヘルスの顧客体験をデジタルの力で高め、尖らせていき、「ひまわりファン」と呼ぶお客さまのLTVを増やしていくことがDXのミッションと捉えています。
さらに業務の効率化・最適化もDXの大きな柱です。効率化は生産性を高めることであり、最適化は旧来型の生命保険会社の事務・オペレーションを「健康応援企業」の事務・オペレーションに変えていくことで、顧客体験の創出に不可欠な取組みです。そして、これらをデータドリブンで意思決定していく風土醸成や人材育成が、私の考えるDX、BXには不可欠です。
―― 今後のDX展開の展望を教えてください。
新しいお客さまを増やすために、既に実装しているツールとしては、LINEでの加入やお客さまの相談窓口としてアバター導入等があります。実際の人間よりもアバターのほうが心理的な壁がなく、フレンドリーに感じていただける場合も多いようで、いつでも誰でも加入や相談がしやすい環境づくりを進めています。
また、約2000万名のSOMPOグループのお客さまにもインシュアヘルスに加入していただくための取り組みも強化する方針です。たとえば、データを活用して、グループのお客さまの中でインシュアヘルスに加入していただきやすいのは誰なのか、スコアリングして、発掘するモデルを構築することがあります。
さらに、人が「健康になりたい」と思うタイミングは保険加入する時期と重なりそうだ、加入時の健康状態によってその後の健康改善の取り組みの温度感も違いそうだといったことが、今までの蓄積してきたデータを分析すると分かってきました。これらのファクトを精緻に解析して、インシュアヘルスを提案するマーケティングプランの立案に生かしていこうと取り組んでいます。
結婚や住宅購入といったライフイベントも、健康や保険について考えやすいタイミングです。たとえば損害保険の契約内容が変わった、あるいは、家計アプリの中で特定の費目の支出が増えたなど、そういったライフステージの変化の兆候を、SOMPOグループ内、あるいは提携する外部のパートナー企業のデータから類推できれば、お客さまにベストなタイミングでより良いご提案ができるはずです。
これには当然、個人情報の取り扱いなどクリアしなければならないハードルがありますが、 ひとつひとつクリアしていこうと思います。
ローンチしたばかりの「MYひまわり」も、やりたいことの10分の1しか実現していないので、これから優先順位をつけて、機能をアップさせていきます。
「健康応援企業」の唯一無二の顧客体験を創出することに向けて、デジタル・データをどの領域で、どのように活用するか。チームで考えて、BXを進めていきたいです。
―― 本日はありがとうございました。
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