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マーケティングは、街にどう貢献できるのか #04

渋谷は、全てを受け入れてくれる「ダイバーシティの街」になれるのか【渋谷未来デザイン 長田新子】

「青ガエル」がキティちゃんとコラボ

 都市の体験デザインは、私が所属する「渋谷未来デザイン」の主要事業である。最近、いくつか行なっているプロジェクトを紹介したい。
 

渋谷駅ハチ公前広場の観光案内所「青ガエル」がキティちゃんとのコラボでダイバーシティステーションに生まれ変わる。


 待ち合わせをしている人を見ていると、ダイバーシティの象徴とも言えそうなハチ公前広場に、「青ガエル」と呼ばれる電車がある。

 これは昭和29年から61年に、東横線で実際に走っていた東急5000系電車で、今では渋谷区観光協会のスポットとして多くの外国人や子どもからも親しまれている。今回、SIWと連動した企画から“Hello Diversity”と称して「ダイバーシティ(多様性)」を考えられる場所として生まれ変わった。そこでは、国連が採択した17の持続可能な開発目標(SDGs)やダイバーシティの普及活動をキティちゃんと一緒に取り組んでいる。
 
(Future Design Shibuya)
 この「青ガエル」の存在は知っていても、電車の中に入れることを知らない人も多い。実際に、入ってみるとキティワールドに癒されるだけでなく、子どもの未来にとって大事なキーワードを知るチャンスになる。この場所は、観光スポットのみならず、社会的な意義も持つ体験空間として生まれ変わった。

 これは、私が前職から付き合いのあるマーケター仲間と、現在一緒に仕事をしているトップクリエイターが時間をかけて一緒に考えた企画だ。街を通じてコラボレーションできることが嬉しい限りである(ちなみに、私の好奇心をくすぐるのは、「ハチ公」「青ガエル」「キティちゃん」と、どれも人間ではないのだが、同じ空間に調和して存在いてカオスであることだ)。
 

空間価値を考えるのは誰でもできる

 今回、空間価値を考えるプロジェクトとして、渋谷未来デザインで「Shibuya的なパブリックスペース」の提案を募集するコンペを開催している。
 
(Future Design Shibuya)http://fds.or.jp/news13.html
 渋谷の街と言えば、スクランブル交差点やストリートなど、いわゆる渋谷駅周辺がイメージされることが多いが、実際は、代々木公園を代表に緑豊かな公園・緑道・川など自然との共生などもあって、個性的な街として様々な要素を包み込んでいる。

 今回は、リアルな空間や地域性のアイデアのみならず、渋谷が文化や流行、生活スタイル、行動も含む言葉、つまり「Shibuya」を魅力的な都市体験を意味する言葉として再定義し、人びとを惹きつける新しい都市体験を生み出す、想像力を膨らませた提案がたくさんきて欲しいと思っている。

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