2025年マーケティング業界の展望 #08
トップマーケターが語る2025年の展望【加藤希尊氏】
2025/01/10
2025年が始まった。生成AIが日常に溶け込み、テクノロジーや社会情勢の激変に伴うマーケティングの変化も避けられない中で、事業成長を担うマーケターは何を見据え、目指せばいいのか。2025年のマーケティング領域における展望をトップマーケターが語る。
マーケターが追うべき「次の産業革命」の兆し
加藤 希尊 氏
キンドリルジャパン Vice President, CMO
キンドリルジャパン Vice President, CMO
2025年、私たちの顧客体験はどう変化しているでしょうか? テクノロジーが進化する中、変化を先読みする力がなければ、競争に取り残されるリスクは高まります。マーケターが産業全体の動向に目を向けることで、未来をリードする視点が得られるのです。
現在のAIブームは、2016年のダボス会議で提唱された「第4次産業革命」の延長にあります。しかし、10年前にAIがここまで普及するとは想像できたでしょうか? 実は、変革の兆しは当時から現れていました。
2016年に私が描いた「スマート化の背景構造」の図では、革新的な顧客体験を創出する構造を示しました。この図では、センサーやプロセッサ、通信技術といった基盤技術が、ソフトウェアや顧客サービスのレベルを底上げすることが示されています。
それからAI専用半導体や衛星通信が登場し、顧客体験はさらに直感的でパーソナライズされたものとなっています。しかし、産業構造そのものは大きく変わっていないため、次の未来もある程度、予測可能です。
産業革命の前兆には、必ず「基盤技術の進歩」があります。AI半導体企業や衛星通信企業、クラウド企業など、技術の兆しを見逃さないことが重要です。これらの企業価値は、この10年で数倍から数十倍に跳ね上がっています。基盤技術の進化を顧客価値に結びつける視点を持つことで、マーケターは次の時代をリードできるのです。
次の10年は、AIが新たなAIを生み出し、全く新しい産業が創出される時代かもしれません。この変革を捉えるには、技術や産業の変化を「構造的」に理解する力が求められます。「スマート化の背景構造」の視点を活用することで、技術革新が顧客体験や産業競争力にどう影響するかを見通せるでしょう。未来を見通すために、マーケターが今からできることは何でしょうか?
1. 技術動向のエコシステムをウォッチする。
– AI、クラウド、通信技術などの最新トレンドや投資傾向を構造的に把握する。
2. 顧客体験の未来を想像する。
– 新技術が自社の顧客体験にどう影響するかを想像する。
3. パートナーシップを築く
– 技術革新を先導する企業との協業を検討する。
変革は見えないところから始まっています。「技術進歩の兆し」を見逃さず、新たな顧客価値を見出すことで、マーケターは次の10年を切り拓く力を手にするチャンスを持っています。