新着ニュース
ファミマ「新作おむすび」発売1週間は前年比120%超え、記者会見で見えた2025年のマーケティング戦略
ファミリーマートは2月27日、2025年のマーケティング戦略と新たなキャンペーンとしてロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を「おむすびアンバサダー」に起用すると発表した。同社によると、新作おにぎりは発売から1週間で累計販売数300万個を突破し、おむすびカテゴリー全体で売上は前年比120%を記録している。また、コロナ禍やインフレと消費行動が大きく変わる中で、既存店の日商は42カ月連続で前年を上回り、成長を続けている。本記事では、同社の記者会見から見えてきた、2025年のファミリーマートのマーケティング戦略を紐解いていく。
ファミマの既存店日商は42カ月連続で前年を上回る成長
記者会見の冒頭で、同社エグゼクティブ・ディレクター CMO(兼)マーケティング本部長 CCRO(兼)デジタル事業本部長の足立光氏は、2025年のマーケティング戦略の発表にあたり、これまでの4年間を次のように振り返った。
「ファミリーマートは、マーケティングの方針として5つのキーワードを掲げ、この特徴に沿ったキャンペーンを矢継ぎ早に行ってきました。ファミリーマートに『わざわざ行く理由』をたくさんつくり、話題性のある尖ったコミュニケーションを実施。さらに、オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアの3つをフル活用し、話題化してお客さまに認知していただき、ご来店いただくという方針を掲げて取り組んできました」

2025年のマーケティング戦略について、足立氏はこれまでの方針である「5つのキーワード」は大きく変えないと説明した上で、特に次の3つの進化について説明した。
「①もっと美味しく」について、足立氏は「昨年のスイーツのキャンペーンのように、2025年はカテゴリー横断企画を毎月実施し、常に美味しいファミリーマートのスイーツが話題になるようにしていきます。また、パンやチキン、調理麺など他のカテゴリーで、本格的なリニューアルを行い、『絶対美味しい』と自信を持てる新商品の投入を予定しています」と語った。
さらに同社では「おむすび」をコンビニの代表商品と位置づけ、大谷選手を「おむすびアンバサダー」に起用。大谷選手が持つ本格的なイメージを活かしながら、日本一のおむすびを目指す戦略を展開する。具体的には、おにぎり専門店「ぼんご」の監修のもと、品質へのこだわりを体現し、「本格感」を強く訴求していく。
キャンペーンはテレビCMにとどまらず、デジタル広告やSNS、店舗プロモーションを通じて幅広く展開。特に「ファミリーマートのおむすび」の価値を明確に打ち出し、消費者に訴求していくと伝えた。足立氏は「キャンペーン期間中は、大型幕、ポスター、ファミリーマートビジョンなど、店舗のあらゆる場所で『おむすび二刀流解禁』を訴求していきます」と力強く伝えた。
「②たのしいおトク」について、足立氏は「ファミリーマートはこれまでも、業界の増量企画の先駆けとなり、40%増量や1個買って1個もらえるキャンペーン、そしてファミマのアプリ ファミペイでドリンクをまとめてお買い上げいただくと、とてもお得になるボトルキープなど、色々なサービスやキャンペーンでファミマはちょっとお得ということを訴求してきました。今年は、来店回数と購入金額に応じて、どんどんとお得になるファミマメンバーズプログラムの特典を拡充します。ファミリーマートでお買い物すればするほどお得になる仕組みで、特にファミペイのユーザーに特別感を感じていただけるように強化していきます」と語った。
さらに、「ファミペイユーザー限定のお得なサービスが始まります。現在、ファミペイではまとめ買いでお得になるボトルキープサービスを提供していますが、これをドリンク以外の食品カテゴリにも拡大していきます」と明かした。
これまでも増量企画やボトルキープサービスを通じて「お得感」を打ち出してきたファミリーマートだが、今後は「ファミマメンバーズプログラム」の特典拡充をはじめ、さらに多くのお得なプログラムを展開する予定だ。
「③『あなた』のうれしい」では、キャラクターとのコラボレーションがファミリーマートの特徴の1つになりつつあるとし、昨年はポケモンやピクミンに加えて、ドラえもんやスヌーピー、人気アプリゲームのモンハンNowなどとも初の協業を実施してきた。さらに、エンタメ路線の強化の一環として、推し活をファミマプリントで強化していき、店舗の聖地化を促進していくことも打ち出した。
エンタメ路線の強化について、足立氏は「コンビニはどこも同じだと思っている方が多いと思いますが、そうではありません。全国のさまざまな店舗やプリンターをいろいろなキャラクターコンテンツのラッピングを行い、その店舗でしか購入できない商品やファミマプリントを販売することで、キャラクターやコンテンツの聖地として、ファンの方々にわざわざ特定のファミマに行く理由をご提供していきます。また昨年は、ファミリーマートの払い込み票での公共料金や税金などの支払いで、宝塚歌劇やプリンスアイスワールドのチケットが当たるキャンペーンを実施し大変ご好評いただきました。今年もこの取り組みを、継続的に強化し払い込みのお支払いでもファミマを選んでいく理由をつくっていきます。税金を払うこともエンタメにしてしまおうということです」と語った。
さらに、続けて足立氏は店舗の外にも「③『あなた』のうれしい」を拡大していくことを明かした。「昨年は、ファミリーマート初の福袋をオンラインストアで販売しました。これは数時間で売り切れるほどの好評をいただいたので、ファミリーマートのネット販売を『ファミマオンライン』として大幅にリニューアルし強化していきます。すでに、世の中に多くのECがあるので、普通なことはしないし普通のものは売りません。ファミリーマートだからできる、特別な商品や、ワクワクする楽しい商品などを中心に販売していきます。つまり、あなたのうれしいというコンセプトをエンタメ路線で展開し、店舗の外でも売上を上げていきます」

ファミリーマートは2025年も引き続き「5つのキーワード」を軸に、さらに進化したマーケティング戦略を展開してく。競争が激化するコンビニ業界において独自の立ち位置を確立し、消費者に対して「あなたと、コンビに、ファミリーマート」を追求していくことが期待される。