TOP PLAYER INTERVIEW #91
Jリーグは「関心度低下」の危機をどう乗り越えたのか、マーケティング本部長の鈴木章吾氏が明かす変革
2025/05/12
世界で唯一無二のリーグを目指し、変革は続く
―― ファン・サポーターやクラブに対し、Jリーグとして今後どのような価値を提供していきたいと考えていますか。
私たちが最も大切にしている価値観は、「Jリーグならではの価値」を守り、育むことです。フットボールの競技レベルでは、もちろん欧州のトップリーグを目指していきますが、一方で、若い女性や子ども、お年寄りまで、全国各地域の誰もが安心してスタジアムで観戦を楽しめる安全な環境は、世界的に見てもJリーグが誇るべき唯一無二の価値だと考えています。このJリーグ独自の強みを捨てる必要はまったくありません。
Jリーグ独自の価値を土台にしながら、フットボールでは欧州を目指し、エンターテインメント性では米国のプロスポーツを参考にするなど、良い部分は参考にしつつも、単なる模範には終わらせないバランスの取れた発展が必要です。日本の文化や社会に根差した、Jリーグ独自の新しい価値を創造していくフェーズに来ていると感じています。

―― 最後に、今後のJリーグのマーケティング戦略として、特に注力していきたいことを教えてください。
最大の節目は、2026年度からのシーズンの移行です。Jリーグのシーズンは1993年のリーグ開始当初から「2-3月開始・11-12月終了」というカレンダーが採用されていました。一方で、欧州のリーグは「8-9月開始・5-6月終了」というカレンダーが採用されており、2026年からはJリーグも欧州のカレンダーに合わせたシーズン期間に変わります。Jリーグにとって大きな変革のタイミングとなります。
これは単にシーズン時期が変わるだけでなく、「Jリーグは、変わるんだ」という強いメッセージを、ファン・サポーターのみならず、より広く社会全体に発信する絶好の機会だと捉えています。Jリーグのブランドを進化させる契機として、リーグ全体を新たなステージへと引き上げていきたいと考えています。
具体的には、Jリーグの国際的な価値向上を加速させたいです。海外から見ても「Jリーグは魅力的なリーグだ」と認識され、海外の有力選手や監督が欧州と並ぶ選択肢としてJリーグを目指すような流れをつくりたいです。
そうなれば、Jリーグの選手が海外に移籍するときの評価も高まり、Jリーグに所属しながら日本代表の主力として活躍する選手も増える、というポジティブなサイクルが生まれるでしょう。2026年のシーズン移行を、その大きな変革の第一歩と位置づけ、具体的なコミュニケーション戦略や施策について組織全体で活発な議論を進めているところです。
―― 大きな転換期を迎えるJリーグ。2026年以降も引き続き注目したいと思います。本日は、ありがとうございました。

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