tr?id=428144794277516&ev=PageView
&noscript=1
よなよな流「ファンベース・ブランディング」―ファンの熱狂をブランドの力に変える方法 #08

「よなよなエールのブランドは、マニュアルではつくれない」ヤッホーブルーイング井手社長

前回の記事:
よなよなエールが、イベント「超宴」を赤字でも開催する理由:ヤッホーブルーイング井手社長

マニュアルでは、ブランドはつくれない

井手 ごろう(編集部注:ヤッホーブルーイング社内における、稲垣氏のニックネーム)が入社して、もう7年経つんだね。僕とごろうの間では、ヤッホーブルーイングのブランディングやクリエイティブに関する認識・感覚がほぼ揃ってきたこともあって、最近では2人で話す機会はあまりなくなってきたよね。

稲垣 てんちょ(編集部注:店長。井手氏のニックネーム)が上司だった頃は、そういう機会も多かったんですけどね。

井手 「上司」って言い方は、あんまり良くないなあ(笑)。

稲垣 (笑)。てんちょがマーケティング部門のユニットディレクター(編集部注:部門責任者の呼称)を兼務していた頃は、2人とも佐久(編集部注:長野県佐久市。ヤッホーブルーイングの醸造所がある)にいたので、マーケティング施策に関する細かいことも含めて、日常的にいろいろな話をしました。

井手 社長になる前から、営業およびマーケティング、インターネット、ほか間接部門のユニットリーダーを兼ねていたけれど、経営トップとして会社全体を見る立場になると、各部門の権限を徐々に委譲していった。しかしマーケティングはヤッホーブルーイングとして非常に重視しているパートだったし、一般的なマーケティングと比較して特殊な部分が多かったこともあって、つい数年前までユニットディレクターを務めていたんだよね



 ごろうは元々スキルがあったけれど、ヤッホーブルーイングのやり方を着実に理解しながら、自ら大学院に通って勉強して、ぐっと成長したと思う。3年前、東京事務所を開設したタイミングから、かなりの範囲のことをごろうに任せて、自由にやってもらうようになったよね。社内のさまざまなプロジェクトチームに、ごろうがマーケティングやブランディングの観点から参加して、各チームのミーティングの場で僕と意見交換をする――これが、最近の僕らの基本的なコミュニケーションのスタイルになっていて、ごろうに上手く権限委譲ができていると感じている。

稲垣 ヤッホーブルーイングの年度初めは12月なので、毎年9月頃から各ユニットで次年度の各戦略を練り始めます。そのタイミングでは、今も変わらず密に議論していますね。全体方針や、やっていること自体は、てんちょの時代も今も、そんなに変わらないですよね。

井手 とは言え、より専門的かつ多様化してきていると思うよ。以前の組織体制では、営業部門内にマーケティングや広報に詳しいメンバーがいるという状況で、営業もマーケティングもコミュニケーションも一緒くたになっていた。

 それが最近は、それぞれ独立しているからね。マーケティングひとつとってみても、プロモーション、通販、ファンマーケティング(FUN×FAN団団)、広報、東京営業、長野営業の6部門に分かれていて、ごろうが参加することで、そこに横串を刺してくれている。僕がトップダウンで指示をしなくとも、ヤッホーブルーイングのやり方を各部門に共有できるのは、この体制のおかげだと思っているよ。

 ヤッホーブルーイングの現在の社員数は約140人(編集部注:2018年10月現在)。ごろうが入社した頃は何人くらいだったっけ? 

稲垣 30~40人でしたね。

井手 さっき、僕とごろうは自社のマーケティングやブランディングに関する認識・感覚がほとんど揃っていると言ったけれど、会社が大きくなっていく中で、今後はほかのメンバーにもこれを共有・浸透させていくことがますます重要になるよね。

 こういうことは、マニュアルで示せるものではない。商品ごとに関わるチームメンバーが異なるけれど、チーム間に横串を刺しているごろうが、ヤッホーブルーイングらしいクリエイティブや、ファンに刺さるコンテンツが何たるかを、議論を通じて各メンバーにリアルに伝えてくれているよね。

稲垣 メンバーも、担当した商品が発売されたり、イベントで自分が担当したコーナーにお客さんがたくさん来てくれたりといったことを目の当たりにすると、「こういうものが面白がってもらえるんだ」とか「こういうものが売れるんだ」という感覚がだんだんわかってくる。お客さまと直接触れ合える、「超宴」のような場は、本当に貴重なんですよね。



 マニュアルでガチガチに固めすぎると、「お客さまがどう思うか?」を担当者が自分の頭で考えなくなってしまい、クリエイティブなものを生み出せなくなる恐れがあります。若手メンバーから「これは、ブランドとして大丈夫でしょうか?」と尋ねられることが多いのですが、お客さまがどう思うか、まずは自分で考えてみるよう促しています。

井手 あとは、大きなコストがかかることでなければ、細かいことは僕の許可をとらず、自由に進めてくれればいい。小さく生んで小さく失敗する分には、大きな影響はない。とにかく実体験させて、あとからフォローしてあげることが大事だと思う。一回失敗してみたほうが早いことも多い。僕ら自身もまだ完璧とは言えなくて、いまだ走りながら修正していっているよね。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録