新着ニュース
Z世代のSNSトレンドは「エフェメラル&クローズド」「映えよりも世界観」、SHIBUYA109が最新動向を調査
東京都渋谷区のファッションビル「SHIBUYA109」を展開するSHIBUYA109エンタテイメントは8月26日、15~24歳の高校生や大学生など女性413名を対象とした「Z世代のSNS利用最新動向2025」の調査結果を公表した。
それによると、 Z世代のSNSトレンドが、家族や友人など特定のユーザーグループだけで情報共有・交流する「クローズドSNS」や、一時的な掲載を意味する「エフェメラル」に主流を移しつつあり、「映え」よりも「世界観」が重視される潮流が明らかになった。
調査は、同社が運営する若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」(以下、同ラボ)が実施し、外部調査会社のパネルによるWeb調査と、同ラボ独自ネットワークによるグループインタビューによって調査・分析した。(調査時期:2025年7月)
2025年現在、回答者が最も利用(閲覧・投稿)しているSNSはInstagram(89.6%)がトップ。次いで動画配信サービス(86.2%)、X(69.0%)、TikTok(60.8%)、BeReal.(33.4%)だった。
(図表1)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
また、各プラットフォームのうち最も投稿しているSNSは1位がInstagram(45.5%)、2位がX(26.4%)、3位がBeReal.(22.1%)となり、4位のTikTokはわずか2.7%だった。さらに利用状況を聞くと、BeReal.は利用者の92.2%が閲覧のみでなく投稿も行っていた。
BeReal.はフランス発の写真共有アプリ。「映えないSNS」として「ありのまま」を重視するZ世代に浸透してきており、1日1回、ランダムに来る通知から2分以内に投稿しなければ他の投稿を見られない仕様になっていることが、高い投稿率を後押ししていると考えられる。BeReal.以外ではInstagram、X、SnapchatがアクティブなSNSとなった。
(図表2)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
各SNSのフォロー・フォロワー状況では、InstagramやBeReal.にはオフラインの友人が多く、TikTokはインフルエンサーをフォロー、Xについては仕事や趣味の友人、SNSでつながった友人をフォローしている場合が多いことも分かった。
これらの結果から、Z世代がアクティブに使用しているのは「ある程度絞られた小さなコミュニティ」とつながるSNSであり、InstagramのストーリーズやBeReal.などに投稿実績が集まっている事実からも、永続的ではなく24時間表示など一時的な掲載を意味する「エフェメラル」に支持が集まっている実態が明らかになった。
高校生や大学生を対象としたグループインタビューでは、「BeReal.は自分の投稿が誰かにスクリーンショットされたことが分かるが、画面録画はされてもこちらでは分からないので、誰かに投稿を画面録画されているかもと思うこともある。Snapchatはスクリーンショットも画面録画もこちらで分かるので信用できる」といった声が上がった。他人の目を気にする傾向があるZ世代にとって「安心して投稿できる環境かどうかがSNSの必須要素となっている」と、同ラボは指摘する。
SNSを投稿する際に意識することは、「映えている、またはおしゃれかどうか」が35.1%で1位となる一方、「他人にとって不快な内容ではないか」が33.7%で2位となった。また、グループインタビューでは「インスタのメインアカウントでストーリーズはそこまで投稿しない。スクショされて回されてしまう可能性があるので」といった意見が聞かれるなど、「見られる」だけでなく、他人の不快感や「拡散されるリスク」まで気を遣っている。このような意識変化が、コミュニケーションの安全性がある程度確保されたクローズドなSNSへと主流が移る要因になっているとみられる。
(図表3)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
調査では、Z世代がさまざまなSNSを、内容やモチベーションによって使い分けている実態も見えた。投稿する内容について、Xは「自分の考え・近況」(52.8%)、「何かを体験した感想」(42.9%)、Instagramのメインアカウントのフィードは「映える・おしゃれな写真・動画」(41.6%)、「友だちとの思い出」(39.6%)が上位になった。同じくInstagramのストーリーズでは「友だちとの思い出」(67.4%)、「映える・おしゃれな写真・動画」(56.4%)と順位が逆転。BeReal.は「友だちとの思い出」(48.4%)、「自撮り」(45.8%)が上位となった。
投稿のモチベーションを聞く質問では、Xは「自分の思いや考えを整理するため」「自分の思い出を記録するため」が上位となったが、Instagramのメインアカウントのフィード・リールやストーリーズは「自分の思い出を記録するため」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」が多くなり、BeReal.も「自分の思い出を記録するため」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」が多数になった。「世界観の表現」が、投稿の重要なモチベーションになってきていることがうかがえる。
また、「出かける際の体験や場所をどこで探すか」という質問に対してはInstagram(64.6%)、次いでTikTok(39.0%)、X(35.1%)、動画配信サービス(30.5%)と、SNSでの情報収集が主流になっていることが示された。検索エンジンは28.8%、テレビCM・テレビ番組は27.8%、家族・友人などの口コミは24.5%だった。
(図表4)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
同ラボ所長の長田麻衣氏は「Instagramの発見タブでは、自分の好きな世界観に合ったお出かけや体験を見つけることができることで重宝されていますが、近年ショート動画での情報収集が主流になっていることから、TikTokも次点に来ています」と分析している。
投稿用の写真・動画の撮影方法について質問すると、「顔やスタイルなどが映った写真を投稿することに抵抗がある」と答えた若者は75.6%に上った。写真や動画を撮る際に、顔全体や全身が映らないようにすると答えたのは6割以上で、「経験したことのある撮影方法」では「鏡越し」が56.9%で1位となるなど、自分の姿をSNSで投稿する際に顔や体をすべて映さないのは、もはや当たり前のようだ。
また、「お出かけとSNS投稿」について聞くと、55.0%の若者が「遊びに行く場所の世界観に合わせて服装を決める」を選んだ。
同ラボによると、「世界観」とは「ビジュアルから読み取る視覚的な系統のこと」であり、近年は一定のモチーフと結びついた 「~コア」という名称とともに、自分を表現する手法としてZ世代の中で扱われている。
(図表5)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
グループインタビューでも、「世界観は周りの子も統一しており、自分も統一したいと思う」「季節ごとに世界観を使い分けたい」「世界観が自分と合わない人は遊びに行ってもフィードに投稿せずに、ストーリーズに投稿する」「自分のフィード投稿などの世界観の違うお出掛けは、投稿したとしてもストーリーズにする」といった意見が出た。
若者の行動やSNS投稿に「世界観」が強く結びつき、自己表現としてのSNSの世界観を重視している様子が浮かび上がった。一方、グループインタビューで「映えという言葉は使わない。気に入った写真を載せているだけ」との意見が挙がり、定量調査でも「『映え』という言葉をよく使うか」という質問に「当てはまる」と回答したのは28.3%にとどまるなど、一時期盛り上がった「映え」は影を潜めている。同ラボは「万人向けの『映え』よりも、それぞれの世界観や 『可愛い』という感性に響くものをSNSにあげ、それを自分の個性として表現する傾向が高まっているように思われる」と分析している。
同ラボ所長の長田氏は調査結果を総括し、次のように述べる。
「若者たちはどんな自分を見せるか、誰とのコミュニケーションを楽しむかで各SNSを使い分けている。一方でSNSで不特定多数とつながることで生まれるコミュニケーションへの気疲れや炎上リスクの回避のために、エフェメラルな共有、クローズドな場での交流を主軸にし始めている。
投稿に対する意識についても、多くの人と共感できる画一的で作り込まれた『映え』に対するモチベーションは下がり、各々が好きな世界観を自己表現することが重視されるようになっている」
今後の企業の対応については、「若者のコミュニケーションにおけるムードを意識しつつ、若者が好きな世界観に合わせて切り取ることができる体験設計を叶えることがより重要になる」と指摘した。
※記事本文の図表は全てSHIBUYA109エンタテイメント リリースより
※それ以外の写真は123RFより
それによると、 Z世代のSNSトレンドが、家族や友人など特定のユーザーグループだけで情報共有・交流する「クローズドSNS」や、一時的な掲載を意味する「エフェメラル」に主流を移しつつあり、「映え」よりも「世界観」が重視される潮流が明らかになった。
調査は、同社が運営する若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」(以下、同ラボ)が実施し、外部調査会社のパネルによるWeb調査と、同ラボ独自ネットワークによるグループインタビューによって調査・分析した。(調査時期:2025年7月)
「映えないSNS」が躍進
2025年現在、回答者が最も利用(閲覧・投稿)しているSNSはInstagram(89.6%)がトップ。次いで動画配信サービス(86.2%)、X(69.0%)、TikTok(60.8%)、BeReal.(33.4%)だった。

また、各プラットフォームのうち最も投稿しているSNSは1位がInstagram(45.5%)、2位がX(26.4%)、3位がBeReal.(22.1%)となり、4位のTikTokはわずか2.7%だった。さらに利用状況を聞くと、BeReal.は利用者の92.2%が閲覧のみでなく投稿も行っていた。
BeReal.はフランス発の写真共有アプリ。「映えないSNS」として「ありのまま」を重視するZ世代に浸透してきており、1日1回、ランダムに来る通知から2分以内に投稿しなければ他の投稿を見られない仕様になっていることが、高い投稿率を後押ししていると考えられる。BeReal.以外ではInstagram、X、SnapchatがアクティブなSNSとなった。

各SNSのフォロー・フォロワー状況では、InstagramやBeReal.にはオフラインの友人が多く、TikTokはインフルエンサーをフォロー、Xについては仕事や趣味の友人、SNSでつながった友人をフォローしている場合が多いことも分かった。
これらの結果から、Z世代がアクティブに使用しているのは「ある程度絞られた小さなコミュニティ」とつながるSNSであり、InstagramのストーリーズやBeReal.などに投稿実績が集まっている事実からも、永続的ではなく24時間表示など一時的な掲載を意味する「エフェメラル」に支持が集まっている実態が明らかになった。
「拡散のリスク」を意識
高校生や大学生を対象としたグループインタビューでは、「BeReal.は自分の投稿が誰かにスクリーンショットされたことが分かるが、画面録画はされてもこちらでは分からないので、誰かに投稿を画面録画されているかもと思うこともある。Snapchatはスクリーンショットも画面録画もこちらで分かるので信用できる」といった声が上がった。他人の目を気にする傾向があるZ世代にとって「安心して投稿できる環境かどうかがSNSの必須要素となっている」と、同ラボは指摘する。
SNSを投稿する際に意識することは、「映えている、またはおしゃれかどうか」が35.1%で1位となる一方、「他人にとって不快な内容ではないか」が33.7%で2位となった。また、グループインタビューでは「インスタのメインアカウントでストーリーズはそこまで投稿しない。スクショされて回されてしまう可能性があるので」といった意見が聞かれるなど、「見られる」だけでなく、他人の不快感や「拡散されるリスク」まで気を遣っている。このような意識変化が、コミュニケーションの安全性がある程度確保されたクローズドなSNSへと主流が移る要因になっているとみられる。

モチベーションで使い分け。情報検索はSNSで
調査では、Z世代がさまざまなSNSを、内容やモチベーションによって使い分けている実態も見えた。投稿する内容について、Xは「自分の考え・近況」(52.8%)、「何かを体験した感想」(42.9%)、Instagramのメインアカウントのフィードは「映える・おしゃれな写真・動画」(41.6%)、「友だちとの思い出」(39.6%)が上位になった。同じくInstagramのストーリーズでは「友だちとの思い出」(67.4%)、「映える・おしゃれな写真・動画」(56.4%)と順位が逆転。BeReal.は「友だちとの思い出」(48.4%)、「自撮り」(45.8%)が上位となった。
投稿のモチベーションを聞く質問では、Xは「自分の思いや考えを整理するため」「自分の思い出を記録するため」が上位となったが、Instagramのメインアカウントのフィード・リールやストーリーズは「自分の思い出を記録するため」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」が多くなり、BeReal.も「自分の思い出を記録するため」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」が多数になった。「世界観の表現」が、投稿の重要なモチベーションになってきていることがうかがえる。
また、「出かける際の体験や場所をどこで探すか」という質問に対してはInstagram(64.6%)、次いでTikTok(39.0%)、X(35.1%)、動画配信サービス(30.5%)と、SNSでの情報収集が主流になっていることが示された。検索エンジンは28.8%、テレビCM・テレビ番組は27.8%、家族・友人などの口コミは24.5%だった。

同ラボ所長の長田麻衣氏は「Instagramの発見タブでは、自分の好きな世界観に合ったお出かけや体験を見つけることができることで重宝されていますが、近年ショート動画での情報収集が主流になっていることから、TikTokも次点に来ています」と分析している。
「映え」より「世界観」を重視
投稿用の写真・動画の撮影方法について質問すると、「顔やスタイルなどが映った写真を投稿することに抵抗がある」と答えた若者は75.6%に上った。写真や動画を撮る際に、顔全体や全身が映らないようにすると答えたのは6割以上で、「経験したことのある撮影方法」では「鏡越し」が56.9%で1位となるなど、自分の姿をSNSで投稿する際に顔や体をすべて映さないのは、もはや当たり前のようだ。
また、「お出かけとSNS投稿」について聞くと、55.0%の若者が「遊びに行く場所の世界観に合わせて服装を決める」を選んだ。
同ラボによると、「世界観」とは「ビジュアルから読み取る視覚的な系統のこと」であり、近年は一定のモチーフと結びついた 「~コア」という名称とともに、自分を表現する手法としてZ世代の中で扱われている。

(図表5)出典:SHIBUYA109エンタテイメント リリース
グループインタビューでも、「世界観は周りの子も統一しており、自分も統一したいと思う」「季節ごとに世界観を使い分けたい」「世界観が自分と合わない人は遊びに行ってもフィードに投稿せずに、ストーリーズに投稿する」「自分のフィード投稿などの世界観の違うお出掛けは、投稿したとしてもストーリーズにする」といった意見が出た。
若者の行動やSNS投稿に「世界観」が強く結びつき、自己表現としてのSNSの世界観を重視している様子が浮かび上がった。一方、グループインタビューで「映えという言葉は使わない。気に入った写真を載せているだけ」との意見が挙がり、定量調査でも「『映え』という言葉をよく使うか」という質問に「当てはまる」と回答したのは28.3%にとどまるなど、一時期盛り上がった「映え」は影を潜めている。同ラボは「万人向けの『映え』よりも、それぞれの世界観や 『可愛い』という感性に響くものをSNSにあげ、それを自分の個性として表現する傾向が高まっているように思われる」と分析している。
同ラボ所長の長田氏は調査結果を総括し、次のように述べる。
「若者たちはどんな自分を見せるか、誰とのコミュニケーションを楽しむかで各SNSを使い分けている。一方でSNSで不特定多数とつながることで生まれるコミュニケーションへの気疲れや炎上リスクの回避のために、エフェメラルな共有、クローズドな場での交流を主軸にし始めている。
投稿に対する意識についても、多くの人と共感できる画一的で作り込まれた『映え』に対するモチベーションは下がり、各々が好きな世界観を自己表現することが重視されるようになっている」
今後の企業の対応については、「若者のコミュニケーションにおけるムードを意識しつつ、若者が好きな世界観に合わせて切り取ることができる体験設計を叶えることがより重要になる」と指摘した。
※記事本文の図表は全てSHIBUYA109エンタテイメント リリースより
※それ以外の写真は123RFより