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電通が「令和シニア・プレシニアの生き方」を調査、不安・挑戦・消費意欲など多様な傾向示す
2025/10/09
孤独や不安に悩む「還暦前」
電通は9月24日、全国の55~79歳の男女1800人を対象とした「令和シニア・プレシニアの生き方調査」の結果を公表した。本調査は、超高齢化社会における社会課題解決をテーマとする同社の社内横断プロジェクト「電通シニアラボ」が実施。令和時代のシニアやプレシニア(50代以上)のライフスタイルやインサイトを把握し、シニアライフを充実させる新商品・サービスの開発や、社会課題解決の手がかりを得ることを目的としている。(調査時期:2025年5月)
調査によると、回答者のうち「孤独」を感じる割合は男女ともに55~59歳が最も高く(全体の36.4%)、60代(同26.5%)と70代(同19.0%)と比べて際立っていた。また、「今後の生き方に迷っている」と答えた割合も、55~59歳が全体の53.3%と最も高かった。
一方、「財産や子どもを考慮しなければ現在の相手と離婚したい」と回答した55~59歳女性は25.2%にのぼり、4人に1人が離婚を希望しているという結果になった。また、「相手との時間を大切にしたい」と考える男性は全体で76.9%だったのに対し、女性は62.6%にとどまり、中でも55~59歳の女性は56.1%と最も低くなった。夫婦・パートナー関係において、男女間で意識にギャップがあるようだ。
還暦を迎えれば、会社を退職したり、それまでの生活スタイルやパートナーとの関係性が大きく変わったりする可能性がある。特に50代後半は迫り来る老後に不安や悩みを抱えがちであることが鮮明になった。ただ、この傾向は60代、70代と年を重ねるにつれ薄まっていることも調査からは見て取れる。還暦前の不安が一時的なものである可能性を示唆していると言えそうだ。
(図表1)「孤独を感じることが多い」

(図表2)「財産や子どものことなど一切気にしなくて良いなら、いまのパートナーと離婚したい」

年を重ねるにつれて前向きになる傾向も
「モテ志向」について聞いたところ、男性は全体で53.1%が「モテたい」と答えた。一方、女性で「モテたい」と答えたのは25.9%にとどまった。「一緒に遊んだり、出かけたり、おしゃべりしたりする友人・知人がいる」と67.3%の女性が回答した一方、男性は47.6%と半分以下に。交友関係に対する意識にもまた、男女間で差があるようだ。
(図表3)「モテたい」

「今あるものを処分したい、整理したい」といういわゆる「断捨離」志向は全体の79.8%と高く出た。特に60代前半女性は93.9%と突出しており、ニーズが浮き彫りになった。また、「多少高くても自分の気に入ったものを買いたい」という回答は全体の73.2%にのぼり、年代とともに回答者の割合は増える。リタイア後の人生で無駄をなくしたいと願う一方、人生をより良くするものであれば多少の出費は惜しまない消費意欲がうかがえる。
(図表4)「多少高くても自分の気に入ったものを買いたい」

また、「新しいことに挑戦してみたい」と回答したのは全体で48.5%にとどまったが、70代の女性では51.3%に達した。「自分の人生に点数をつけるなら」という設問では年代が高まるにつれて「80-100点」と高く付ける割合が増加した。
年をとると挑戦意欲や自己肯定感が減退するのではと思われがちだが、むしろ高まるケースが多いと言えそうだ。
(図表5)Q.自分の人生に点数をつけるとしたら何点ですか?

電通の担当者は「還暦を前に今後の人生への不安から悩み迷う50代後半と、還暦でリセットされて『人生100年時代を満足いくものにしたい』と前向きになる60~70代との差を感じとることができた」と総括。ひと口に「シニア」と言っても多様なニーズや価値観の変化があり、それらを細やかに捉えることで「『人生をより良くしたい』という情熱にアタックし、より豊かな人生にいざなうことができるのではないだろうか」と考察した。
※記事中の図表の出典はすべて電通リリース。サムネイル画像の出典は123RF