CATCH THE RISING STAR #32

「ファンダフル・ディズニー」手がけるオリエンタルランド若手マーケターが目指す「心の温度が上がる」マーケティング

 

ファンクラブを軸にロイヤルティを広げ、高めていく


―― 東京ディズニーリゾートは日本を代表するテーマパークとして知られていますが、競合との競争も激しい中、マーケティング担当者としてファンクラブをどのように活用するべきだと考えますか。

 「会員になったからこそパークの楽しみ方が広がった」という体験をお手伝いできる施策を展開し、入会してくださるきっかけをつくり、会員のロイヤルティを維持・向上させていくのはもちろん重要です。

 ただ、それだけでなく、ロイヤルティの高い方々にパークの魅力を周囲へ広げてくださったり、語ってくださったりするような存在になっていただけたら、心強いと考えています。たとえばお友達と一緒に来園し、バックグラウンドストーリーを紹介していただくなど、会員の方それぞれがお好きなパークの楽しみ方を伝えていただくなかで、周囲の方にもパークを好きになる機会をつくっていただいていると感じています。

 また、人生とともに東京ディズニーリゾートを楽しんでくださる方を増やしたいと思っています。小さい頃に家族と来て、やがて友達と来て、恋人と来て、会社の人と来て、今度は自分の家族と来て、お子さまに引き継いで…というように、何世代にもわたって楽しみ続けていただきたい。マーケティングは、誰かの人生に幸福や発見をもたらす「きっかけづくり」だと思っていますので、ディズニーリゾートでの経験が誰かの「心の温度」を上げ、それが幸せな人生につながるきっかけになってほしいと思います。

 ファンダフルの会員の皆さんが核となって、ディズニーリゾートをもっと楽しんでくださるゲストの輪が広がっていくことを目指したいです。

―― 最後に、普段から心がけていて、仕事に生きていることはありますか?

 外部の人との新しい出会いを大切にするようにしています。マーケティングのイベントや集まりに出たり、2025年であれば大阪・関西万博にも行って、パビリオンのコンセプトや体験設計を考えたりしました。テーマパーク以外の業種の方とも積極的に交わることで、新しい視点や刺激をもらえるのがすごく楽しいと感じます。

―― 本日はありがとうございました。
 

【上司の視点】既存資産をマーケティングで生かしきる人材

 
横山 政司 氏
オリエンタルランド マーケティング本部 ロイヤルティマーケティング部長

 オリエンタルランドでは継続的に新たな価値を創出する組織づくりを目指し、新しい商材(新規アトラクションやイベント)を生かすマーケティングはもちろん、既存の資産をマーケティングの力でどう生かしきるかを考えられる人材づくりに注力しています。
そのための手段としてデータ活用はもちろん、まずは自社のことをよく知った上で社内外との協業にも臆することなく積極的に取り組む一人ひとりの志を大切にしています。

 野村さんは、責任感が強く、一つひとつの仕事を丁寧かつ妥協せずに取り組んでくれています。また、ファンダフル・ディズニー会員のみなさん一人ひとりの思いや「好き」を掘り下げる取り組みも積極的に推進しています。そのおかげで、私たちマーケティング本部のメンバーはもちろん、社内メンバーの会員のみなさんに対する理解がかなり深まりました。

 社内外の調整において、さまざまな事情と自身や自組織の思いのあいだで苦労していることもありますが、そこが野村さんの長所でもあり今後の伸び代だと感じています。さらなる本人の成長と会員組織の成長に期待しています。
 
ファンダフル・ディズニー20周年の旗(写真)は、夜間貸切営業で来園した会員をおもてなしする際に使った思い出深いアイテム。
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