2026年マーケティング業界の展望 #07
トップマーケターが語る2026年の展望【工藤萌氏、松沼雄祐氏】
2026/01/07
マーケターは企業の「内側」「外側」をつなぐ人材に
工藤 萌 氏
スープストックトーキョー 取締役社長
スープストックトーキョー 取締役社長
マーケティングは顧客の行動をどう動かすか、つまり外側を動かす仕事。私はそう考えていました。しかし経営する立場になり、内側──働く人の価値観や組織のふるまい──が変わらなければ、外側でつくった変化は持続しないことを痛感しました。マーケティングの力は本来この内側にも作用するものであり、そこに企業の持続性が宿ります。
いまは外側だけを整えてもすぐに見透かされる時代です。企業のふるまいが一貫しているかどうかは顧客にも社会にも簡単に見抜かれる。つまり内側が変わらなければブランドは成立しない。その意味で、内側と外側をつなぎ、一貫性をつくることができる人材こそ、これからのマーケターなのかもしれません。これは経営の視点に立ったことで立体的に見えてきた構造でした。
2026年は、マーケティングが企業と社会の接続の仕方をさらに変えます。AIの進化を単なる効率化ではなく、本質的なブランド価値の向上につなげられるか。元マーケターとして、今は経営の現場に立つ私自身が、その可能性を自分の手で確かめ続けていきたいと思います。
デジタルがリアルの体験価値を爆発的に高める
松沼 雄祐 氏
GENDA GiGO Entertainment
執行役員CDO 兼 DX推進室 室長
GENDA GiGO Entertainment
執行役員CDO 兼 DX推進室 室長
2025年は「AIエージェント」という言葉・概念が一気に浸透した1年でした。主要なSaaSにはほぼ実装され、作業の自動化や「消費者AIエージェント」の活用によるインサイト発掘の高速化・洗練化の波は間違いなく到来しています。
これらは我々を下積みの作業時間から解放し、真に付加価値の高い業務に専念できるようになることを意味します。よく言われる表現ですが、今後は「DX担当者やマーケターはAIエージェントの人事部」としての役割を帯びていくでしょう。 それだけでなく、マーケティングにおける「デジタル」と「リアル」の境界線はさらに曖昧になり、「デジタルツイン」の流れは「フィジカルAI」へと進化し、リアルな世界へのAI浸透がいっそう加速するでしょう。
私はこれまでデジタル領域に身を置いて参りましたが、現在はGENDA GiGO Entertainmentでアミューズメント施設という「究極のリアル」のDXを推進しています。この両方を経た立場から見える2026年の景色は、デジタルがリアルの体験価値を爆発的に高める未来です。
当社ではAIによるオペレーションの最適化を推進しており、スタッフを単純作業から解放し、人間にしかできない「接客」や「熱狂の演出」に注力できる環境を構築しています。 2026年のマーケティングにおいて、テクノロジーは効率化のためだけでなく、エンターテイメントの純度を高めるために存在します。「推し活」が経済圏として定着し、消費者が「意味」や「体験」をこれまで以上に渇望する中、私たちマーケターの役割は、デジタルを駆使して世界中に「楽しさ」のタッチポイントを創出することです。それには「データドリブンな熱狂の予測」というデータの冷徹さと、ファンの熱量の双方をハンドリングする「二刀流」のスキルセットが不可欠となるでしょう。




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