マーケティングは、街にどう貢献できるのか #05
逮捕者も出た「渋谷のハロウィーン」。どうすれば、より良い形に変えられるのか【渋谷未来デザイン 長田新子】
2018/11/30
課題だらけの渋谷のハロウィーン
私たち組織のハロウィーンによる取り組みは、ゴミ拾いだけではなかった。NTTドコモから技術提供を受けて、10月31日22時から渋谷109の壁面にプロジェクションマッピングを行い、駅前混雑時の注意喚起・情報提供の共同実証実験を行った。今後のための取り組みのひとつで、多くの参加者に適切な情報を伝え、駅前周辺の混雑や事故の防止へとつなげることが目的であった。実験としては成功したが、これを今後どう活かすかはこれからの検討事項である。
渋谷でのハロウィーンによる駅前混雑時のプロジェクションマッピングを活用した注意喚起・情報提供の実証に関して
今年は、注意喚起の社会実験、翌朝の清掃活動への参加、そして周囲への様々な状況のリサーチ活動で終わってしまった。
なんだか消化不良ではあるが、自分にとっては貴重な体験。個々だけの活動では、どうにもならないと確信した。ゴミを一つひとつ拾いながら行政だけに何かを押し付けるのもおかしいし、この課題に取り組むには、もっと大きな仕組みづくりが必要だと実感した。
人が集まる場所には、さらに人が群がる。行列ができる店には、さらに行列ができる。人は他の人が興味持っているものをさらに見たい、参加したいという意識が強い。
サッカーW杯の時も多くの人が渋谷に訪れて、チームの勝利や活躍を祝い、ハイタッチを楽しんだ。しかし、その時の状況と今回のハロウィーンは全く異なると思っている。彼らはハロウィーンのように街に滞留せず、目的を達成する(交差点でのハイタッチ)と満足し、その場を去る人が多かった。
特に、ハロウィーンは自然発生的に人が集まっているが、消費につながっているかといえば、そうでないと言われている。商店街の店舗は、騒動からの被害を恐れて早々にお店を閉めてしまっているところも多い。仮装客を禁止している店舗もある。せっかくたくさんの人が集まり、楽しい夜を過ごそうという人もいると思うが、街として受け入れがたい状況になっている。
さらにはゴミ、清掃など、後片付けは誰がやるのかも考えなくてはならない。自分が主催するパーティであれば、後片付けは自分自身で行うだろう。これが自宅や友人宅であれば、そのように行動している。しかし、それが公共空間になった途端、無責任な状況になっている。
楽しんでいる参加者全員が主体的に行動することができたら、それをサポートするメンバーもきっと気持ちよく行動できると思っている。