日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #64
初恋の相手が犬に。広瀬すず主演 マネードクターのCMに見る「意味不明」のパワー
2026/02/03
私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えて行こうと思います。今回は、その第64回です。
歌詞ではサービスの機能を伝えつつ、ストーリーは広瀬すずさんが犬と会話する「意味不明」具合が面白い
まずビジュアルとセリフだけで、このテレビCMを追ってみましょう。街を行く広瀬すずさん。一匹の犬と目が合います。見つめ合う広瀬さんと犬。広瀬さんが「ワンワン」と犬語で語りかけ、そこに「もしかして?」のテロップが。その後も犬語でのやり取りが続きます。「そうだよ」(犬)、「うそ?」(広瀬)、「正一郎です」(犬)。ここで広瀬さんは感極まってしゃがみ込み、犬と手を取り合って、「久しぶり」(広瀬)、「うん」(犬)というやり取りをします。
相当にシュールですよね。「意味不明だ!」と怒り出す人がいてもおかしくありません。テレビCMの仕掛けとしては一方で、冒頭から歌が流れていてその歌詞で、「♪保険のことFPさんに相談したくて、マネードクター予約しようと思ってたのに~♪」「♪初恋のあの人に似ている犬に出会って、ドキドキ止まらず予約のことすっかり忘れた♪」と商品であるサービスとCMストーリーの説明がなされ、最後に広瀬さんのナレーションで「保険のこと、FPに相談するなら、マネードクター」と締めくくられます。
広告としての構造は、FP(フィナンシャル・プランナー)に無料で気軽に相談できるという「マネードクター」の商品・サービスの特徴を、「予約をしようと思っていて、ちょっとしたことでそれを忘れても、またすぐに予約できるから大丈夫」という形でメッセージしていると考えられます。
そうやって詳しく見てみると納得はいくし、オンエアで漠然と見ていても、そうした送り手の意図は問題なく理解できます。しかし、それにしても、メインのストーリーが「犬になってしまった初恋の相手と街で遭遇する」という、保険やFPとはまったく関係のないものであることに驚かされます。そして、そのことで、かえって目を惹かれます。歌詞と相まって、商品・サービスのメッセージも結果としてきちんと伝わってきます。
広告コミュニケーション開発の現場では時に、「とにかく分かりやすく」と言われがちですが、商品・サービスの特徴を伝えるのに、とにかく分かりやすく伝えるのが良いのか、今回のように“意味不明”のパワーも活用するのかは、考えどころですね。
マネードクター「あの人が・・・」篇




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