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ポケパーク カントーの記事は、なぜ揃ってポジティブになるのか

 人気ゲーム「ポケットモンスター」の魅力を体感できる初の常設施設「ポケパーク カントー」が2月5日、東京都稲城市の遊園地・よみうりランド敷地内に開業する。初代『ポケットモンスター赤・緑』の舞台であるカントー地方をモチーフとした施設の敷地面積は約2.6ヘクタール。600匹を超えるポケモンが暮らす森や街を巡り、ふれあいや観察を楽しむことができる。

 開業を直前に控えた1月26日にメディア向け内覧会が行われるや否や、Web上は「想像以上にリアルなポケモンたちの姿に感動」「パレードやアトラクションで大興奮!」といった“興奮”の滲む言葉と、豊富な撮り下ろし写真で構成された「体験レポート」の記事で溢れた。

 この報道のポジティブな空気は決して偶然生み出されたものではなく、再現可能な実務知だ。ポケパーク カントーを題材に、大型施設の評価を決める開業前の空気づくりのポイントを考察する。
 

開業前PRは「空気」を設計できる


 大型施設の評価は、開業前の"空気"が決める。当たり前のようでいて、毎回この“空気”が思った以上に強い影響力を持つことに驚かされる。最近では、開業前の段階で形成された“空気”が、その後の評価をも長く規定していくことになる。事前発表、キービジュアル公開、メディア向け内覧会。開業前に触れるそれらの情報自体が、すでに世の中の先行体験になっているからである。

 そのため、開業前PRの目的は、単に告知や露出獲得だけに留まらない。メディアがそのプロジェクトを「批評の対象」として眺めるのか、自ら「体験に参加する」ものとして受け取るのか。その見方の前提を、最初につくってしまう仕事である。

 この視点から考えると、2026年2月に、よみうりランド園内に開業予定の「ポケパーク カントー」をめぐる報道の空気感は際立っている。メディア向け内覧会の後に掲載された各社の記事では、批評や条件付きの評価よりも、体験レポートを中心としたポジティブな論調が目立っている。私もいくつか記事を読んだが、どれも「楽しんだあとに書いた文章」のような、ほんのりとした高揚感があった。読みながら、こちらまで「行ってもよいかも・・・」と期待してしまったほどだ。
 

出典:株式会社ポケモンのプレスリリース

 「敷地約2.6ヘクタール」「600匹超のポケモン」という分かりやすい「体験」の主語に加え、「ポケパークエントランス広場」「ポケモンフォレスト」「カヤツリタウン」という3分割は、記事化の単位としても上手く機能している。結果として、記事の書き手は比較や採点をせずとも十分記事を成立させることができる。正直なところ、ここまで「書きやすい」構造は珍しい。というより、少し出来すぎていると感じたほどだ。ここで情報の受け手はテーマパークの「評価者」ではなく、「参加者の立場」に誘導されるのだ。

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