CATCH THE RISING STAR #38
ANAの体育会系若手マーケターが目指す、「迷わせない」顧客体験
2026/03/30
- 人材育成,
企業におけるマーケティングの役割と重要性が増す一方、「マーケターの仕事はAIに奪われるのでは」とも囁かれる昨今。そんな変革期にマーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。
次世代を担う「ライジングスター」にフォーカスし、彼らの多彩な思考や行動を探ることでマーケティングの近未来を照射するAGENDA Note.の本連載。38回目となる今回はANAのCXデザインを担う若手マーケター・廣岡理奈氏に取材。交通手段や航空会社の選択肢が多様化する中、廣岡氏が追求する最適な顧客体験の設計とは。
次世代を担う「ライジングスター」にフォーカスし、彼らの多彩な思考や行動を探ることでマーケティングの近未来を照射するAGENDA Note.の本連載。38回目となる今回はANAのCXデザインを担う若手マーケター・廣岡理奈氏に取材。交通手段や航空会社の選択肢が多様化する中、廣岡氏が追求する最適な顧客体験の設計とは。
コロナ禍で「移動」の価値が浮き彫りに
―― 入社の経緯を教えてください。
2018年に新卒で入社し、現在8年目です。大学では国際コミュニケーションや異文化コミュニケーションを専攻していました。学びの中で感じたのは、偏見や固定観念をなくすためには実際にその土地に行き、人と直接会うのが何より重要だということです。その過程で必ず必要となるのが「移動」、とりわけ空の移動ですよね。航空会社は単なるインフラではなく、移動に付加価値を与え、人の価値観を変える力を持っている。そう感じたことが、航空業界を志したきっかけです。
ANAを選んだのは、会社として「努力」「挑戦」「チームスピリット」を大切にしている点に強く共感したからです。私は高校から大学にかけて体育会に所属してフェンシングに取り組み、特に団体戦では、一人ひとりが役割を果たしながらチームで成果を積み重ねることに魅力を感じていました。その経験とANAが掲げる価値観が重なり、入社の決め手になりました。

全日本空輸 CX推進室 CX戦略部 CXデザインチーム
廣岡 理奈 氏
廣岡 理奈 氏
――入社されてすぐコロナ禍でしたね。影響は大きかったのではないですか。
その通りです。入社から3年間は関西空港で空港ハンドリングを行うグループ会社に出向し、グランドスタッフとしてお客さま対応全般を担当していましたが、コロナ禍が直撃し、国際便が次々と運休してお客さまが減っていく様子を、最前線で目の当たりにしました。
「仕事がなくなるのでは」と不安を感じたこともありましたが、コロナ禍を通じ、直接会うことや現地に足を運ぶことでしか得られない体験の重要性が、かえって浮き彫りになったと感じています。移動の価値を再定義し、それをどのように顧客体験に結びつけていくか。現在の私の業務内容にもつながる、原点になる経験でした。
その後、4年目の春にANA Xの事業開発部へ出向しました。ANA XはANAマイレージクラブやANAカードなど、プラットフォーム事業を担うグループ会社です。依然としてコロナの影響で航空機が飛ばない中、いかにANAとお客さまとの接点を保ち続けるか、利益を出すか。その課題に向き合うべく、約3年半にわたり新規事業の立ち上げに携わりました。一例として「ANA Pocket」という、徒歩など日常のさまざまな移動行動によってマイルが貯まるモバイルアプリサービスの立ち上げに、初期からローンチまで関わりました。その後、現在のCX戦略部へ異動し、ANAの根幹事業である航空事業のマーケティングに携わっています。
――現在の業務内容について教えてください。
大きく2つあり、ひとつは「お客さまの体験価値をどう高めていくか」を軸に、デジタルを活用した顧客体験の設計に取り組んでいます。具体的には、お客さまが迷ったり困ったりしないように、どのような情報を、どのタイミングで、どのチャネルを通じて届けるべきかを考える役割です。
たとえばチェックインひとつを取っても、現状はアプリでの手続きを一律に促すなど、基本的にはすべてのお客さまに同じ体験を提示しています。しかし実際には、カウンターでの手続きを望む方もいれば、アプリで完結させたい方もいます。また、国籍や年齢によっても適切なチャネルが異なります。こうした違いを踏まえて、今後どのように体験にバリエーションを持たせ、パーソナライゼーションを実現していくか、社内では中期戦略の核として重要視し、検討しているところです。デジタルの活用を主軸に置きつつ、その上で「どこに人の力を生かすか」を見極めることも重要だと考えています。
もうひとつの役割は顧客満足度を可視化し、部門ごとの課題を抽出して、部門横断で改善につなげることです。私たちはつい、「空港」と「機内」とで顧客体験を分けて考えがちですが、お客さまにとっては空港から機内までが地続きの体験です。一方は良いけれど一方は悪いという状態にならないよう、全体の顧客体験を横串で底上げしていくことも私たちの役目と認識しています。交通手段や航空会社の選択肢が多様化する中、常に「一歩先まで支えてくれる」と感じていただける一気通貫した顧客体験が、ANAを選んでいただける理由につながると考えています。




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