日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #66

サントリー・クラフトボスが投げかける「真実か、フェイクか。」 重苦しい世の中の関心事を軽やかに取り入れて注目を集める手練れの技

前回の記事:
AI時代にこそ際立つ「生身の人間の心の機微」 三井住友銀行 Oliveの「皆がなんとなく思っていること」を巧みに描いたCM
 私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。今回は、その第66回です。
 

圧倒的な存在感で問いを投げかける広告 商品を飲んでみたいとも思わせる、手練れの技


 地下鉄に乗ろうと歩いている時に、その駅貼り広告が目に飛び込んできました。

 最も大きく扱われているのは、「真実か、フェイクか。」の文字。さらに、虫眼鏡で何かを確認しようとする宇宙人ジョーンズ(トミー・リー・ジョーンズさん)と、商品であるクラフトボスの『甘くないイタリアーノ』です。
    
著者撮影

 普通に考えれば、「真実か、フェイクか。」という議論は、『甘くないイタリアーノ』とは無縁のもの。ネットを中心に氾濫する、様々な言説やニュースについて議論されるもので、重苦しい話題です。

 一方、商品である『甘くないイタリアーノ』自体は、気軽に飲む飲み物で、決して重苦しいものではありません。そこに、あえて「真実か、フェイクか。」という話題を取り入れているわけです。

 駅貼りポスターの商品の近くには、「ラテ専用ミルクで、カフェのラテのようなおいしさに!」の文字が。その流れの最後は、「ファクトチェックは、あなたの口で」と結んでいます。

 最後の「ファクトチェックは、あなたの口で」は、つまりは「飲んでみてね」という、大変に広告的なフレーズなのですが、この重苦しい話題に上手に関係づけて、こう表現しているわけですね。見事な技だと感じます。

 さらに、テレビCMでは、役所広司さん、杉咲 花さん、河合優実さんが登場して、同じ考え方・同じ構造の表現が、エンターテインメント性を加えて繰り広げられています。
 

クラフトボス 甘くないイタリアーノ「宇宙人ジョーンズ・真実かフェイクか/予告」篇

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録