JR田町~品川駅間の新駅ネーミングを考える

ネーミングのプロが見る「高輪ゲートウェイ」、体を表す駅名になれるのか

ネーミングにおいて重要なのは、当事者



 12月4日に発表されたJR東日本の新駅名「高輪ゲートウェイ」が、どちらかと言うと否定的な意見を中心に話題を集めています。

 私はスキルシェアサービス「タイムチケット」で、「それだ!感のあるネーミングを考えます」というチケットを通じて、400件以上のネーミングやキャッチコピーなどを30分で共創し続けてきました。今回は、その立場から「高輪ゲートウェイ」の是非を考えてみたいと思います。

 まず、私の考えるネーミングの役割についてです。

 よく「名は体を表す」と言いますが、それは「名」のもとで「体」がつくり上げられてきたからこそ、そのような言葉が生まれていると私は考えています。つまり、理想的な「名(ネーミング)」とは、表したい「体(結果・状態)」を為すための「覚悟」を表明しているのではないでしょうか。

 どうしても関わる人が増えることで、様々な意見や感想は生まれてしまいますし、全人類が合意・納得することなど、もちろんありえません。しかし、重要なのは、少なくとも誰よりもその名を多く名乗る当事者が、その信念とともに自分の声で語り続けられることです。私がネーミングを共創する際にも、それを一番大切にしながら様々なアイデア出しやアドバイスをするように心がけています。

 ちなみに余談ですが、我が家の3人の子どもの命名は全て妻が担当しています。なぜなら私よりも名を呼ぶ回数が圧倒的に多いから…笑。

 では、今回の当事者は誰か?

 それは「JR東日本」ということになるでしょう。

 我々が「ああだ、こうだ」言ったところで、膨大な数の路線図を修正したり、責任を持つのは他の誰でもない彼らなのです。

 また、今回の選定プロセスにおいては一般からの公募という形式もとられていますが、採用された高輪ゲートウェイは130位のアイデア(1位は高輪)だったということで、少なくともネーミング決定において最も避けるべき「人気投票(誰も覚悟を持てず、言い訳を生みやすい決定方法)」で決められたわけではないことは、わかります。

 というわけで、決定の経緯を探るべくプレスリリース内にある「選定理由」を見てみましょう。

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