日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #67
カロリーメイト ゼリーの交通広告 巨大な林檎の写真にロゴだけを添えた「皆まで言わない」表現の効果とは
キャッチコピーもロゴも一切存在しない、キットカット「フォーンブレイク」
説明過多を避ける欧米の広告・コミュニケーションの中でも、群を抜いて説明していないのが、キットカットによる「Phone Break(フォーンブレイク)」です。主にZ世代に向けた施策として、チェコのプラハで実施され、2025年カンヌライオンズのアウトドア部門グランプリ他を受賞しました。
KitKat「Phone Break」ケースフィルム
画像とケースフィルムを見てみてください。街を行き交う人々が皆、じっと手元を見ています。歩きながらでもスマートフォンを見っ放しの人が多い、という日本でもよく見かける光景かな?と一瞬思うのですが、よく見ると、手元にあるのはキットカットです。そして、その街頭広告には、キャッチフレーズなどのコピーが一切ないのです。通常は画面に向かって右下あたりに置かれることが多い、商品カットもロゴも存在しません。
すべては「暗示」に留まっています。英語だとimplyとかimplicationと言い、広告会社の打ち合わせなどでもよく使われるキーワードですが、ここまで暗示具合が高い表現は、あまり見たことがありません。こうした暗示的な表現の利点は、それを見て「なんだ、これ?」と目に留まりやすいこと、そして送り手の意図に自ら気づいた受け手としては、コミットした分、記憶や気持ちに強く残りやすいことでしょう。
もちろん、これは、キットカットだからできる表現でもあります。65年の長きに渡って使われ続け、日本でも浸透している「Have a break, have a KitKat(休憩しよう、キットカットを食べよう)」というキャッチフレーズがあればこそでしょう。キットカットといえば小休止、と認識している人が多いからこそ、この“超”暗示的な表現でも「スマホ利用をしばし休もう、そしてキットカットを食べよう」という送り手の意図が伝わるのだと思います。
日本では一般的に「説明を尽くす」ことが善しとされる傾向がありますし、皆さんが携わっている商品・サービスが置かれている状況にもよりますが、コミュニケーション施策を扱う時に「待てよ。『皆まで言うな』って言うしな」と考えてみるのは、案外有効かもしれませんよ。
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