日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #68

ギャツビー「金のロールオン」テレビCM 商品特性をエンターテインメントへと昇華させて描く普遍的手法がみごと

前回の記事:
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 私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。今回は、その第68回です。
 

古代の王国の宮殿(?)で、脇に商品を塗られ続ける印象的なシーン


 少し前、頻繁に流れていたギャツビー「金のロールオン」のテレビCM。メッセージしている内容は、描きようによってはお茶の間の団欒の邪魔をしかねないものです。

 商品特性は、「高い制汗力×殺菌力で、根本からニオイの発生を防」ぎ、「シリーズ史上最強の密着処方で、汗が出ても有効成分が流れにくく、肌にとどまり続け」る、というもの。そもそもが脇汗の話であり、効果を謳えば謳うほど、食事時などは見たくないと思われる内容です。そして商品名は「EXプレミアムタイプデオドラントロールオン」という長たらしいもの。パッケージは、目立つ金色です。
 
ギャツビー 金のロールオン「ワキには、金。」

 企画者たちは、こう考えたのだと思います。「商品は“金のロールオン”と呼び、テレビCMの世界観全体を、“金”でいくことにしよう。古代ぽい王宮を舞台にして、金だらけの場所で、金の王様を登場させ、その王様の脇に“汗臭く”なく商品を塗り続けよう!」と。そうすることによって、「商品特性をしっかりと伝えつつも、食事時のお茶の間に流れたとしても気にならない、エンターテインメント性ももたせよう」と。

 そのテレビCMは、お笑いコンビ・マヂカルラブリーの野田クリスタルさんが、「WAKING(ワキング)」という王様に扮し、画面の真ん中に鎮座しているシーンから始まります。「EVERYBODY WAKI UP!」の掛け声の元、画面に映る全員が脇を上げる中で、一際高く脇を上げる野田WAKINGの脇に、側近の者が「金のロールオン」を塗り続けます。

 その間繰り返されるのは「脇には金、脇には金、ギャツビー♪」の歌。そして、最後は「汗を眠らせ、ニオわせない。ギャツビー・金のロールオン」のナレーションで締めくくられます。

 自宅のリビングにあるテレビ受像機でこのテレビCMが流れて来ても、不快になることはなく、むしろ好感をもって、面白がって観ていました。エンタメ性を充分に活かしながら、商品特性もしっかり伝えようとした作り手側の意図は、少なくとも筆者に関する限り、なかなか上手く機能したことになりますね。

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