NEW CEO INTERVIEW #03
電通 新社長・松本千里氏に聞く、電通の進化を象徴する「事業領域の広がり」と「新しい伴走の形」
2026/07/21
企業のトップに、新たに就任したリーダーが考えるビジョンや戦略を深掘りし、彼ら・彼女らの挑戦と展望、企業の未来を紐解く新連載「NEW CEO INTERVIEW」。
今回は、2026年4月1日に株式会社電通(以下、電通)代表取締役 社長執行役員に就任した松本千里氏にインタビューを行った。広告会社の枠を超え、クライアントの事業成長を支える「インテグレーテッド・グロース・パートナー(IGP)」への進化を加速させる電通。同社を率いる松本氏が見据える広告・マーケティング業界の未来と、そこにおける同社の“勝ち筋”について、前後編の2回にわたってお届けする。
前編では、好調な業績の背景にある、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)領域の推進や、AI時代を見据えた専門組織の設立、独自ソリューションの開発、競争力の厳選となる多様な人財を活かすための組織づくりなどについて聞いた。
今回は、2026年4月1日に株式会社電通(以下、電通)代表取締役 社長執行役員に就任した松本千里氏にインタビューを行った。広告会社の枠を超え、クライアントの事業成長を支える「インテグレーテッド・グロース・パートナー(IGP)」への進化を加速させる電通。同社を率いる松本氏が見据える広告・マーケティング業界の未来と、そこにおける同社の“勝ち筋”について、前後編の2回にわたってお届けする。
前編では、好調な業績の背景にある、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)領域の推進や、AI時代を見据えた専門組織の設立、独自ソリューションの開発、競争力の厳選となる多様な人財を活かすための組織づくりなどについて聞いた。
クライアントのバリューチェーン全体へと広がる事業領域
ー 電通 社長執行役員に就任されてからまだ間もない段階ではありますが、松本さんは御社の現状をどのようにご覧になっていますか。強みや、目下重点的に進めていらっしゃることなどをお聞かせください。
業績は、昨年度(2025年度)の電通グループ全体における日本事業は6.2%のオーガニック成長となりました。売上総利益は5年連続、調整後営業利益は2年連続で過去最高益となり、非常に好調なモメンタムが流れていると言えます。国内事業の中核企業である電通も同様です。
弊社は事業活動の大方針として、2021年から「インテグレーテッド・グロース・パートナー(IGP)」の実践を掲げています。クライアントの変革や成長に貢献するのはもちろんのこと、広く社会全体に対して活力をもたらす存在でありたいと考えています。
その中で、重点領域については昨年改めて再定義し、「マーケティング」「ビジネス・トランスフォーメーション(BX)」「スポーツ&エンターテインメント」の3つを軸としています。
とりわけ、ここ数年はBX領域に注力し、大きく成長させることができました。直近ではAI関連の相談が顕著に増えていることに加え、リテールマーケティングや人事領域などの相談も増えており、これらは大きな成長機会だと考えています。

松本千里氏
電通 代表取締役 社長執行役員
電通入社後、長年営業部門においてクライアント業務に従事。2023年1月電通 執行役員に就任。2024年1月よりdentsu Japan チーフ・クライアント・オフィサーに就任(現任)。2024年3月より2年間にわたって電通総研の取締役を務め、グループ横断での価値提供力の強化にも取り組む。2026年1月より電通 取締役 副社長執行役員に就任。同年4月より現職。
電通 代表取締役 社長執行役員
電通入社後、長年営業部門においてクライアント業務に従事。2023年1月電通 執行役員に就任。2024年1月よりdentsu Japan チーフ・クライアント・オフィサーに就任(現任)。2024年3月より2年間にわたって電通総研の取締役を務め、グループ横断での価値提供力の強化にも取り組む。2026年1月より電通 取締役 副社長執行役員に就任。同年4月より現職。
ー IGPの実践の「達成度」や「進捗」について、どのように認識されていますか。
社員の意識の面では、100%実践できているのではないかと思います。広告領域において、クライアントからの要請を受けて動き出す「受注」という従来の形から、事業領域がクライアントのバリューチェーン全体へと広がり、そこにパートナーとして伴走する意識が非常に強くなっています。
その結果が数字にもはっきりと表れ、クライアントからの評価にもつながっていると思います。ただ、我々が求める数字や成長度合いに照らすと、まだまだ「満足」といえる段階にはありません。
ー 広告以外の領域の売上が全体の4割を超えたとのことですが、広告領域についてはどうお考えですか。
「2025年 日本の広告費」で発表したとおり、日本の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)と4年連続で過去最高を更新しました。数字としても明らかなように、まだまだ拡大可能性のある領域といえます。広告領域に関しても、市場規模そのものを拡大しながら、内容の高度化も推し進め、業界シェアナンバーワン企業としての存在感を高め続けていきたいと考えています。
ー 事業領域が広がる中、あえて「電通の競合はどこか」と尋ねられたら、どのようにお答えになりますか。
以前は同業の広告会社を含むマーケティング領域の会社が競合でしたが、事業領域が広がるにつれて、競合となる業種も増えています。コンサルティングファーム、ITサービス企業、OTTをはじめとするプラットフォーマーも競合になり得ます。
一方で、そうした企業と「協業」して課題解決に当たるケースも増えており、かつてのように「競合はこの企業」と言い切るのが難しくなってきています。ある時は戦い、ある時はともに出資して新しい会社をつくることもある、そんな「グラデーション」の中にいます。
どこが競合になり得るのか、あるいは協業の可能性があるのか、社会や顧客の変化に合わせて迅速に判断し動いていく必要があります。そして、ただ協業するだけでなく、自社のケイパビリティを広げていくことが何より大切だと考えています。




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