NEW CEO INTERVIEW #04
電通 新社長・松本千里氏が重視する、AI時代の競争力を高める「“最”現場」という考え方
2026/07/22
全社に共有する「“最”現場」の重要性
ー そうした環境下でdentsu Japanおよび電通を率いる松本さんご自身の強みは、どのような点にあるとお考えですか。
私は入社以来、一貫して「ビジネスプロデュース(営業)」の領域を歩んできました。常にクライアントと向き合い、課題の本質を見極めながら、社内外のさまざまな力を結集して解決策を形にしてきたことが、自分のキャリアの軸になっています。
社長という立場になった今も、その姿勢は変わりません。私が社員によく伝えているのが、「“最”現場(さいげんば)」という考え方です。現場とは単にお客さまのもとへ足を運ぶことではなく、クライアントの最も重要な課題やビジネスのヒントが存在する場所に飛び込むことを意味します。私自身もできる限り現場に足を運び、クライアントの生の声に耳を傾けることを大切にしていますし、社員にも現場から学び続ける姿勢を持ってほしいと伝えています。クライアントと最前線で向き合い、課題を肌で感じながら学び続けることこそが、私たちの成長の原動力になると考えているからです。

ー これまでのキャリアの中で、特に影響を受けた人物や出来事があればお聞かせください。
30年以上にわたりビジネスプロデュースの仕事に携わる中で、本当に多くの方々に出会い、学ばせていただきました。クライアントの皆さまはもちろん、社外のパートナー、そして社内のさまざまな領域のプロフェッショナルに支えられ、鍛えられてきたと感じています。印象に残る方や出来事も数多くあります。
その中でも特に大きな転機となったのは、以前に担当した外資系企業との仕事でした。マーケティング分野で世界的に知られる企業で、彼らの仕事の進め方や意思決定のプロセス、議論の仕方は、当時の私にとって非常に新鮮でした。合理性を重視しながらもマーケティングの本質を徹底的に追求する姿勢に触れ、自分の視野が大きく広がったことを覚えています。
それまで私は、自分なりの経験則をもとに仕事を進めていましたが、初めて体系的な考え方やフレームワークに触れ、「こうすればより多くの人と共通言語で議論できる」「より効率的に成果につなげられる」と実感しました。まさに新しい世界を知ったような感覚でした。
その時に学んだ考え方のひとつが、「グロースマインドセット」です。人は常に学び続けることで成長できるという考え方であり、私自身、その価値観に大きな影響を受けました。どれほど優秀な人であっても、学ぶことをやめてしまえば成長は止まります。一方で、現時点では十分な知識や経験がなくても、学び続け、新しいことに挑戦し続ける意志があれば成長できる。その考え方は、その後のキャリアの中で何度も私を前向きにしてくれました。今は、その考え方を社員にも伝えています。
私どものような課題解決のためのソリューションを提供する会社の仕事の魅力は、自社の経験だけにとどまらず、多様な業界や企業、さまざまなプロフェッショナルとの仕事を通じて学び続けられることです。ひとつの会社にいながら何倍もの経験を積み、何倍もの成長機会を得ることができる。その点は、この仕事ならではの大きな魅力だと感じています。
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