マーケティングで社会課題を解決できるか #01

男性の100人に1人は精子がいない。リクルートで精子のビジネスを始めたわけ

自分の精子と向き合ってもらいたい

「男性の100人に1人は精子がいない」

※Ahmet Gudeloglu, Sijo J Parekattil “Update in the evaluation of the azoospermic male”, 2013

 この事実を知ったとき、男性のみなさんは、どのように感じるでしょうか。

 まさか自分には関係ないだろうと、思われる方もいれば、もしかしたら自分には精子がいないのかも知れないと不安になる方もいると思います。

 子供をほしいと思っているすべての男性に自分の精子と向き合ってもらうために、私はスマートフォンで簡単に精子のセルフチェックができる「Seem(シーム)」というサービスを開発しました。

 Seemは、専用の顕微鏡レンズに精液を1滴載せて、スマートフォンのカメラで撮影するだけで精子の濃度と運動率がアプリで測定できます。


 

自分ゴト化で人を動かす

 人は自分ゴト化できないと行動や習慣を変えられません。妊娠や出産は男性には経験できないので、男性にとって自分ゴト化しづらいテーマです。そのため、「いつかは子供がほしい」と思っていても、その「いつか」に向けて具体的なプランを立て、アクションを起こしている男性は多くありません。

 先日、あるイベントで男性の妊活についてのやる気と知識をアンケートで調査し4タイプに分類したところ、やる気も知識もない「妊活ニート」タイプの男性が最多となりました。



 男性が妊活を自分ゴト化できない結果、女性だけで1~2年妊活を続けたけれども結果が出ず、ようやく男性をクリニックに連れて行ったら、実は男性に原因があったと判明するケースも少なくありません。

 人の意識を変えるためには、自分ゴト化が必要です。そして、自分ゴト化には「きっかけ」が必要です。例えば、身近な人や自分と年齢の近い芸能人が病気になったとき、「自分は大丈夫だろうか」と不安が生まれ、アルコールを減らしたり人間ドックを予約したりした経験がある方もいるのではないでしょうか。

 Seemは自分の精子の濃度と運動率をアプリで測定し、WHOの定める自然妊娠が難しいとされる下限基準値と比較できます。客観的なデータを基準値と比べることで、精子と向き合う「きっかけ」となり、意識と行動が変わります。
 
【Seemアプリ 測定結果詳細画面】
 Seemの利用者にアンケートを取ったところ、3割以上が「病院に行った」と回答しました。その他にも、精子の状態は体調や生活習慣によって日々変化するため、測定結果を受けて食事のバランスに気を遣うようになったり、タバコを辞めたりといったポジティブな行動変化を実現した方も多くいらっしゃいました。

 お使いいただいたユーザーの中には、Seemがきっかけで無精子症が判明し、すぐに不妊治療を開始したところ半年後に奥様が無事に妊娠、その後、元気な女の子が誕生した方もいらっしゃいます。

 その方も含め、ユーザーにインタビューし、Seemを使ったことによる意識・行動の変化について語ってもらった動画「THE FAMILY WAY」を公開。この動画は沢山の方に共感いただき、2018年のカンヌライオンズ モバイル部門のグランプリを受賞できました。

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